新宅雅也

新宅 雅也（しんたく まさなり）

新宅雅也は、1957年12月20日生まれ、広島県三原市出身の陸上競技・マラソン選手です。一時期は永灯至（ひさとし）に改名していましたが、現在は元の雅也に戻っています。彼は広島県西条農業高等学校と日本体育大学を卒業し、1970年代から1980年代にかけて日本陸上界を牽引した名選手として知られています。

経歴

新宅は三原市立幸崎中学校で陸上部に入り、陸上競技を始めました。中学時代は特に目立った選手ではありませんでしたが、強い負けん気を持ち、練習には非常に熱心でした。彼は独りで遅くまで走ることも多かったと言います。高校進学に際し、駅伝で名を馳せる世羅高校を希望しましたが、学区の制約により、広島県立西条農業高校に進学しました。そこからは田園風景の砂利道を走り、脚力を鍛えました。

その後、実力校の日体大へ進学し、トラック競技で活躍を見せました。彼は在学中に数々の国際大会に参加し、1977年にはユニバーシアード」に出場。さらに1978年のアジア大会では3000m障害で金メダルを獲得し、同年の箱根駅伝で日体大の優勝に貢献したことで評価が高まりました。1979年には、3000m障害で日本学生最高記録を8分25秒8で打ち立て、この記録は2020年に三浦龍司によって更新されるまで41年間にわたり保持されました。

卒業後は、中村清の指導のもとでヱスビー食品に入社し、1980年の箱根駅伝に出場しました。彼は、早稲田大学の瀬古利彦を破って優勝を果たしました。さらに、ヱスビー食品に入社した仲間と共に、東日本実業団対抗陸上競技大会で団体優勝、また全日本実業団駅伝でも4連覇に貢献しました。

新宅は3000m障害で1980年に8分19秒52の日本記録を樹立しましたが、この記録も2003年に岩水嘉孝によって破られるまで23年間保持され続けました。モスクワオリンピックの3000m障害代表に選出されたものの、日本のボイコットにより出場できない悔しい思いを経験しました。また、1982年のアジア大会では5000m金メダル、1984年のロサンゼルスオリンピックでは10000mに出場し、1986年のソウルアジア大会では5000m銀メダル、10000m金メダルを手に入れました。

自己の多様な紀録も魅力で、新宅は日本陸上競技選手権での優勝回数を全種目合計13回とし、この記録は2008年に室伏広治によって更新されるまで男子の日本記録でした。

1985年にはマラソンに転向し、東京国際マラソンで日本記録を樹立し、福岡国際マラソンにて優勝を果たしました。1987年にはソウルオリンピックマラソン代表に選ばれましたが、1988年のソウルオリンピックでは17位に終わりました。1990年にはヱスビー食品を退社し、大正海上で監督を兼任し、その後三井住友海上陸上競技部監督となりました。

近年の活動と影響

選手育成においては一時期停滞していたものの、2007年には体育大学予備校「体育進学センター」の講師に就任し、若手選手の指導に従事しています。新宅雅也の影響を受けた選手たちは、今後の日本陸上の未来を担うことでしょう。彼は現在も陸上競技界で重要な存在であり続けています。

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