新宮正春

新宮 正春（しんぐう まさはる）の生涯と業績

新宮正春は1935年1月1日、和歌山県新宮市に生まれ、本名を瀬古正春といいます。彼の筆名は、故郷である新宮市にちなんで名付けられました。彼は2004年8月28日に急性呼吸不全で亡くなりましたが、69年間の生涯の中で、日本文学界に多大な影響を与えました。

学歴と初期のキャリア

新宮は神奈川大学経済学部を中退後、内外タイムスを経て報知新聞社に入社します。そこで運動部記者としてのキャリアをスタートさせました。特に、彼はV9時代の読売ジャイアンツを取材し、その体験が彼の作品に色濃く反映されています。記者としての経験を通じて、スポーツに対する深い理解と、選手たちの迫力ある人生を描く視点を磨いていきました。彼は梅本さちおの漫画『影武者ジャイアンツ』の原作を手掛け、長嶋茂雄選手との親交も深めました。特に彼は、長嶋とその妻亜希子夫人との間を取り持つ役割も果たしており、ジャイアンツファンからも親しまれました。

小説家デビューと作風

新宮は1970年、短編小説「安南の六連銭」で第15回小説現代新人賞を受賞し、作家としての第一歩を踏み出しました。彼のデビュー以降、剣豪小説や伝奇時代小説を中心に、精力的に作品を発表し続けました。南原幹雄や津本陽らと共に、下降線を辿る時代小説ジャンルを支える存在となりました。

新宮の作品には、フィジカルエリートとしての剣客描写が顕著であり、時代小説の中に独自の視点を持ち込んだ点が高く評価されています。彼の作品は、歴史の深さを感じさせるだけでなく、特に剣豪小説においてはアクションや人間ドラマが絶妙に組み合わさっており、多くの読者に支持されています。

主な著書

新宮が手掛けた著作には、以下のような小説とノンフィクションがあります。特に彼の小説は、剣客や歴史的な出来事をテーマにしており、時代背景の緻密な描写が光ります。

小説

• - SFプロ野球 四次元の白球（講談社、1978年）
• - 後楽園球場殺人事件（講談社、1985年）
• - 兵庫の壺―異聞・本能寺の変（新人物往来社、1999年）
• - 柳生殺法帳（廣済堂文庫、1999年）
• - 陰の絵図 (上・下)（集英社文庫）
• - 巌流: 小次郎剣鬼伝（祥伝社文庫、2000年）

ノンフィクション

• - ミスターはドンに敗れたか（こう書房、1982年）
• - されど長嶋ジャイアンツ（集英社、1983年）
• - 長嶋茂雄の闘争方程式（講談社、1993年）
• - 私のベストナイン（講談社、2000年）
• - 長嶋の野望（講談社、2000年）
• - 知られざる長嶋茂雄（角川書店、2001年）

漫画原作

• - 影武者ジャイアンツ（報知新聞社、梅本さちお作画、全3巻）

最後に

新宮正春の作品は、彼自身のキャリアや人間関係を通じて生まれた深い洞察と描写に満ちています。彼の死は日本文学の一つの節目であり、彼が残した作品は今も多くの人々に読み継がれています。

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