新宮熊野神社

新宮熊野神社：歴史と文化が息づく荘厳な空間

福島県喜多方市慶徳町に鎮座する新宮熊野神社は、平安時代に創建されたと伝えられる歴史ある神社です。「新宮」の名を冠していますが、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の熊野三山を祀っているのが特徴です。かつては広大な社領を有し、多くの末社や寺院が立ち並びましたが、戦乱や災害によって衰退。しかし、地元住民によって守り継がれ、現在に至ります。

圧巻の長床

新宮熊野神社で最も有名なのは、国の重要文化財に指定されている長床です。長床とは、拝殿として使われた建物で、間口27メートル、奥行き12メートルの広大な空間に、44本の円柱が立ち並ぶ吹き抜けの構造が特徴です。平安時代末期から鎌倉時代初期に建てられたと考えられていますが、1611年の会津地震で倒壊。その後、再建されましたが、以前より一回り小さくなったそうです。現在の長床は、1971年から1974年にかけて解体修理が行われ、創建当初の姿に復元されました。柱間には壁がなく、開放的な空間が広がっており、訪れる人々を圧倒します。

歴史と文化財

新宮熊野神社の境内には、長床の他にも、熊野三社本殿、文殊堂、観音堂などの歴史的な建造物が残されています。これらの建物は、いずれも江戸時代以前に建てられたもので、当時の建築技術や文化を今に伝えています。また、境内には、樹齢600年ともいわれる大イチョウがあり、喜多方市の天然記念物に指定されています。秋には、鮮やかな黄色に染まり、訪れる人々を魅了します。

神社に隣接する宝物殿には、平安時代から江戸時代にかけての多くの文化財が保管・公開されています。国の重要文化財である銅鉢は、暦応4年（1341年）の銘があり、当時の貴重な資料となっています。その他にも、福島県指定重要文化財である熊野神社本殿、木造文殊菩薩騎獅像、熊野神社御神像など、数多くの文化財を間近に見ることができます。

新宮氏との関わり

奥州合戦後、会津を与えられた佐原義連の孫・時連は、神社の北東に新宮城を築いて新宮氏を名乗り、以後約200年間、会津盆地北西部を支配しました。新宮氏は神社を守護神として崇め、多くの神器を寄進し、神社の保護に努めました。新宮氏が蘆名氏に滅ぼされると、後ろ盾を失ったことから神社は衰退していきましたが、現在も新宮氏との深いつながりを感じることができます。

アクセス

新宮熊野神社へは、JR磐越西線喜多方駅から車で約10分、磐越自動車道会津若松インターチェンジから車で約30分です。喜多方ラーメンで有名な喜多方市に位置しており、観光と合わせて訪れるのもおすすめです。

新宮熊野神社は、歴史と文化が息づく荘厳な空間です。静寂に包まれた境内で、心静かに過ごしてみてはいかがでしょうか。

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