佐原義連

佐原義連（さわら よしつら）

生涯

佐原義連は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した武将です。相模国の豪族である三浦義明の末子として生まれました。三浦氏の本拠地である相模国衣笠城の東南に位置する佐原城（現在の神奈川県横須賀市佐原）に居住したことから、佐原氏を称するようになりました。

治承4年（1180年）8月、源頼朝が挙兵すると、義連は一族とともにこれに参じ、御家人となりました。養和元年（1181年）4月には、頼朝の寝所を警護する11人の選抜メンバーに選ばれるなど、その信頼は厚かったと言えるでしょう（『吾妻鏡』養和元年4月7日条）。

同年6月、頼朝が納涼のために三浦へ出かけた際、三浦氏とともに上総広常も出迎えたとされています。しかし、広常が下馬の礼をとらなかったため、頼朝に近侍していた義連がこれを咎めたという逸話が残っています。また、酒宴の席では、広常と三浦一族の岡崎義実が水干のことで乱闘寸前になった際、義連が仲裁に入り、事態を収めたことで、頼朝から感状を与えられたと伝えられています（『吾妻鏡』養和元年6月19日条）。ただし、『吾妻鏡』は鎌倉時代後期の編纂物であり、これらの記述がどこまで正確かは疑問視されています。

治承・寿永の乱では、一ノ谷の戦いで源義経率いる搦手軍に属し、「鵯越の逆落とし」で先陣を切って駆け下りたという武勇が『平家物語』に描かれています。また、1672年に刊行された『会津旧事雑考』によれば、義連は文治5年（1189年）7月の奥州合戦に従軍し、その功により、陸奥国会津四郡（会津・大沼・河沼・耶麻）を与えられたとされています。この記述も後世の編纂によるものであるため、そのまま信じることはできません。しかし、嘉禄3年（1227年）7月に、浄土宗多念義派（長楽寺義）の祖である隆寛律師（法然の弟子）が奥州に流罪と決した際（嘉禄の法難）、奥州に所領を持つ佐原盛時（義連の孫）が預かりとなっている事実から、盛時が宝治合戦以前より会津郡耶麻郡加納庄を領有していた傍証となります。さらに、宝治合戦（1247年）の時点で、盛時の異母兄である北田広盛・藤倉盛義が会津の北田や藤倉を名字地としていたことが『吾妻鏡』に記されていることから、佐原氏が宝治合戦以前から会津を所領としていたことは明らかです。

文治2年（1186年）には、北条時政の後任として紀伊国総追捕使に任ぜられました。この時、義連自身は鎌倉に留まり、任地には代官として少刑部真清を派遣しました。文治5年（1189年）の北条時房の元服の際には、頼朝の命により烏帽子親を務めています。建久元年（1190年）の頼朝上洛にも随行し、左衛門尉に任官しました。また、関東御領である遠江国笠原荘の惣地頭兼預所も務めました。

建久7年（1196年）11月から建仁3年（1203年）5月まで、和泉国の守護を務めていました。義連が同国守護に任命されたことを示す建久7年（1196年）11月7日付の書状が現存しています（『鎌倉遺文』）。

義連の没年については諸説あり、「異本塔寺長帳」では建久3年（1192年）4月15日に75歳で死去したとされ、「葦名系図」では建仁3年（1203年）5月17日に78歳で死去、「葦名家由緒考證」では承久3年（1221年）4月15日に82歳で死去したと記されています。『大阪府史』では建仁3年（1203年）に死去したとされています。

1973年1月10日、義連の墓と伝えられる「伝佐原義連廟所」が横須賀市の重要文化財に指定されました。

画像集

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脚注

参考文献

大阪府史編集専門委員会 編『大阪府史』 第三巻《中世編 1》、大阪府、1979年11月20日。NDLJP:9574408。
和歌山県史編さん委員会 編『和歌山県史』《中世》和歌山県、1994年3月25日。NDLJP:9576730。

外部リンク

伝佐原義連廟所（でんさはらよしつらびょうしょ） - 横須賀市
佐原・葦名時代 - 会津の歴史（一般財団法人 会津若松観光ビューロー）

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