新宿松竹文化演芸場

新宿松竹文化演芸場の歴史と影響

新宿松竹文化演芸場（しんじゅくしょうちくぶんかえんげいじょう）は、東京都新宿区角筈に位置していた演芸場です。この施設は、松竹グループの傍系企業である松竹第一興行によって経営されていました。開場は1958年10月28日で、1962年8月12日に閉館するまでの短い期間でしたが、その間、多くの演芸人たちがこの場所で腕を磨き、数々の名場面を生み出しました。

演芸場の概要

新宿松竹文化演芸場は、新宿松竹会館の地下にあり、座席数は365席で設計されていました。ここは、落語定席とは異なり、軽演劇や色物芸人に特化した興行が行われていました。特に注目すべきは、若き日の立川談志（当時は柳家小ゑんとして知られていました）や、東京進出に成功した漫画トリオたちがこの舞台で成長していった点です。また、野末陳平は、野坂昭如との漫才コンビ「黒メガネ漫才」を結成し、此処でパフォーマンスを披露したことでも知られています。

興行スタイル

この演芸場では、主に普通の落語家ではなく、その活動内容やスタイルが一風変わった演者たちが出演していました。色物芸人とは、落語芸人以外でパフォーマンスを行う芸人を指し、コメディやバラエティに富む演目が多数提供され、観客を楽しませました。この多様性が、新宿松竹文化演芸場の魅力であり、特異な文化的存在感を発揮する要因となっていました。

演芸場のシンボル

施設には松竹マークが掲げられ、その下には花を象った独特の紋様が描かれ、さらにその下部には「SHINJUKU」というローマ字の文字が白抜きで示されていました。このシンボルは、新宿松竹文化演芸場のアイデンティティとして、大きな役割を担っていました。

閉館後の変遷

1962年の閉館後、施設は周辺の映画館、新宿名画座や新宿スター座と合併され、大改修を経て映画館として再開業しました。しかし、この映画館もその後再び改装され、新宿ピカデリーとなり、2006年には閉館してしまいます。現在、その跡地にはシネマコンプレックスの新宿ピカデリーが存在し、演芸文化の歴史を物語っています。

支配人と後の足跡

新宿松竹文化演芸場の支配人であった磯野勉は、後に芸能プロダクション・太田プロダクションを設立しました。このプロダクションからは、てんぷくトリオやツービートなど、多くの著名なタレントが誕生しています。また、ダチョウ倶楽部等、現在でも人気のあるタレントたちを抱えています。

競合と文化的背景

新宿松竹文化演芸場は、近隣の劇場との競合関係も存在しました。特に松竹芸能が経営していた新宿角座は、同じ地域にありながら異なるスタイルの演演芸を提供していました。新宿松竹文化演芸場が色物主体の興行を行っていたのに対し、新宿角座では松竹芸能所属の関西芸人によるライブが主流であり、観客に多様なエンターテイメントを届けていました。これにより、新宿は東京における多文化な演芸の中心地となっていったのです。

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