色物

色物（いろもの）

「色物」とは、主に演芸の世界で用いられる言葉で、寄席などの演芸場において、その日の番組（出演プログラム）の主流を占めていない少数派の演芸、またはそれらを演じる芸人を指す呼び名です。寄席の看板、ビラ、高座のめくりなどでは、色物に属する芸人の名前を、通常の黒（墨）ではなく、主に朱色などの別の色で書くという習慣があります。

色物の由来

色物の語源は明確にはわかっていませんが、文化年間（1804年～1818年）頃から、講談をメインに見せる寄席（講釈場）に落語家が出演する際、彼らを「色物」と呼んでいたとする説があります。その後、落語をメインに見せる寄席が増えるにつれて、落語が色物として扱われることはなくなりました。

現代の寄席における色物

現代の寄席では、以下のような演芸が色物として扱われます。ただし、東京と上方（関西）では扱いが若干異なります。

東京：主に落語と講談以外の、以下の諸芸を指します。
音曲
奇術
曲芸
太神楽
曲独楽
ものまね（声色）
紙切り
腹話術
漫才
漫談
ボーイズ
コント
上方：漫才が寄席芸の主流であるため、上記の限りではありません。

また、東京では、落語をメインに見せる寄席に講談師が出演する場合は、色物とは扱いません。逆に、講釈場に落語家が出演する場合は色物扱いとなります。

その他の意味

演芸以外にも、「色物」という言葉は以下のような意味で使われることがあります。

衣類：洗濯の際に色落ちや色移りに注意が必要な、濃く染色された種類の衣類。色柄物とも呼ばれます。
乳飲料：「色物乳飲料」の略称として、色が白くない乳飲料を指すことがあります。
* 比喩表現：上記演芸の「色物」から転じて、主流から外れたものや、風変わりなもの、奇抜なものを指すことがあります。これは「きわもの」「ゲテモノ」とほぼ同義です。例として、「色物商品」のように使われます。

色物は、演芸の世界だけでなく、日常生活の中でも様々な意味を持つ言葉として使われています。

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