新宿西口商店街

新宿西口思い出横丁：戦後闇市から続く、昭和レトロな活気

新宿西口商店街、別名「思い出横丁」や「やきとり横丁」として知られるこのエリアは、東京都新宿区西新宿1丁目に位置し、独特の雰囲気と歴史を誇る商店街です。その歴史は、1946年頃、空襲の爪痕が生々しい中、闇市として誕生したことに始まります。


かつては小田急百貨店新宿店まで広がり、300軒もの店舗が軒を連ねていたと言われ、戦後復興期の活気と混沌を象徴する場所でした。現在でも、その名残を感じさせる、小さな飲食店が密集しています。


狭い路地に沿って立ち並ぶ店々は、昭和の雰囲気を色濃く残しています。焼鳥やホルモン焼き、定食屋、そして金券ショップなど、多様な業種が入り混じり、独特の活気ある空間を創り出しています。まるでタイムスリップしたかのような、ノスタルジックな雰囲気は、多くの観光客や地元住民を魅了しています。


しかし、この商店街の歴史は、決して平坦なものではありませんでした。1999年11月24日、大規模な火災が発生し、70店舗中28店舗が全焼または半焼するという大きな被害を受けました。この事件は、商店街に大きな傷跡を残しましたが、関係者らの懸命な努力により、復興を果たし、現在も営業を続けています。


なお、この商店街はかつて「ションベン横丁」という俗称で呼ばれていましたが、これは大阪市十三にある同名の商店街と混同されがちです。両者は全く別の商店街であり、大阪の「ションベン横丁」も2014年に火災に見舞われ、多くの店舗が焼失しました。


新宿西口思い出横丁は、その歴史と独特の雰囲気から、多くの作品にも影響を与えています。例えば、1982年公開のSF映画『ブレードランナー』は、この思い出横丁を参考にセットデザインが作られたと言われています。また、近年話題のアニメ『呪術廻戦』にも、作中登場人物の重要なシーンの舞台として登場しています。


現在もなお、多くの観光客や地元住民に愛される新宿西口思い出横丁は、戦後日本の歴史と、人々の暮らしの活気を凝縮した、貴重な場所と言えるでしょう。その賑わい、そして昭和レトロな雰囲気は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。 参考文献として、藤木TDC著『東京戦後地図 ヤミ市跡を歩く』(実業之日本社、2016年)が挙げられます。この書籍は、戦後の闇市跡を詳細に解説しており、新宿西口思い出横丁の歴史を知る上で貴重な資料となります。

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