新居浜港

新居浜港：愛媛の工業とレクリエーションを支える港湾

新居浜港は、愛媛県新居浜市北西部に位置する、港湾法上の重要港湾、港則法上の特定港に指定された港湾です。別子銅山の発展とともに栄え、現在も新居浜市の経済を支える重要な役割を担っています。

港湾区域と構成

新居浜港は、御代島、新居大島、阿島を結ぶ範囲を概ね指し、大きく3つの区域に分けられます。

新居浜本港: 御代島から国領川間のエリア。昭和初期からの大規模な埋め立てにより、工業港として発展しました。住友グループの企業が臨海部のほとんどを占め、漁港も隣接する独特の景観が特徴です。化学工場と漁港が隣接している様子は、雑誌で取り上げられるほど珍しい光景となっています。
新居浜東港: 旧多喜浜塩田跡地に整備された東部工業団地の臨海部地域。製造業、流通業、卸売業などの事業所が集積し、新居浜市の海上・陸上物流の中核を担っています。フェリーターミナルがあり、阪神方面への定期航路も運航されています。1996年には新居浜マリーナが整備され、海の駅「にいはま海の駅」や「みなとオアシス マリンパーク新居浜」として、レクリエーション拠点としても機能しています。
* 黒島港: 干拓により陸続きとなった黒島地区に位置します。東港の一部として扱われることもあり、製造業、流通業などの事業所が立地しています。黒島海浜公園も整備され、市民の憩いの場となっています。

沢津、垣生、新居大島の各漁港は、新居浜港の港湾区域からは除外され、御代島以西は東予港東港地区として愛媛県が管理しています。

歴史と発展

新居浜港の歴史は古く、江戸時代までは小さな漁村の港でした。1691年（元禄4年）、住友家による別子銅山開坑を機に、銅の輸送拠点として発展を始めます。明治以降は、住友グループ企業の進出により工業港としての発展が加速。太平洋戦争後も、日本経済の復興・発展とともに成長を続け、1948年に貿易港、1951年には重要港湾に指定されました。

1953年には新居浜港湾局が設立され、公共埠頭の整備が進み、従来の住友系企業中心の港湾から、公共性の高い近代港湾へと変貌を遂げました。その後、1964年に東予地区が新産業都市に指定されると、新居浜港は中心的な役割を担い、港湾施設の整備がさらに進みました。1988年には東港に四国オレンジフェリーが就航するなど、旅客輸送も盛んに行われています。現在では、本港は住友グループ企業を中心とした工業港として、東港は工業とレクリエーションの両面を兼ね備えた港として機能しています。

主要施設と航路

新居浜港には、多数の岸壁、物揚場が整備されています。本港には大江岸壁、菊本岸壁、住友重機械岸壁など、東港には新居浜東港フェリーターミナル、垣生岸壁、多喜浜岸壁、ヤスハラケミカル岸壁などが存在します。旅客航路としては、四国オレンジフェリーによる神戸航路が有名です。かつては大阪航路や、川之江港を経由する神戸航路もありましたが、現在は廃止されています。また、新居浜市営渡海船による新居大島への航路も運行されています。

管理運営

新居浜港は、新居浜市と住友によって組織された新居浜港務局（ポート・オーソリティ）によって管理運営されています。港湾法に基づく港務局が港湾管理者となるのは、日本で新居浜港のみという特異な特徴を持っています。

新居浜港の未来

新居浜港は、歴史と実績を積み重ね、新居浜市の経済発展に大きく貢献してきました。今後も、工業港としての役割に加え、レクリエーション施設の充実などを通じて、地域社会の発展に貢献していくことが期待されます。

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