新幹線1000形電車

新幹線1000形電車

新幹線1000形電車（しんかんせん1000がたでんしゃ）は、日本の高速鉄道の先駆けであり、国鉄が1962年に東海道新幹線の開業に先立って製造した試作車両です。この車両は、さまざまな技術試験や速度試験に利用され、特に「鴨宮モデル線」での試験において256km/hを記録したことが知られています。

概要

当初、新幹線1000形電車の製造予定は12両でしたが、予算の見直しによりその数は半減しました。その結果として、1001号と1002号の2両からなるA編成と、1003〜1006号の4両からなるB編成の2つの編成が作られました。A編成とB編成を用意したのは、すれ違い試験を行うためのものでした。その後、6両からなるC編成も製造され、総数は3編成となりました。これら3編成は、実際に6両編成列車や12両編成列車を運用において多くの試験を行いました。

A編成やB編成は、C編成や通常の新幹線0系といくつかの類似点がある一方、先頭車両の曲面窓や楕円形のヘッドライトのように、詳細な設計には多くの相違点も存在します。

車両の構造

C編成に関する説明は、一部を除いて省略します。1000形の力行制御には低圧タップ式が採用され、170kWの出力を持つ電動機が使用されました。ブレーキシステムには発電ブレーキと電磁直通空気ブレーキの両方が装備され、速度によって自動的に切り替わる仕組みです。その車体は全車両が鋼鉄製で、流線形状の先頭部は風洞実験に基づいて設計されました。

ドア形式は外つり式のプラグドアが採用され、ボンネット前端には半透明乳白色のアクリルパネルが使用され、夜間でも視認しやすい設計です。安全性を考慮し、前照灯は小型の1灯式シールドビームを採用しました。また、列車番号を表示するための小窓が設けられており、試験運転中には編成番号や試験内容が表示されることが多く見受けられました。

新幹線車両において特有の静電アンテナは、後の営業車両に比べてシンプルな逆L字形でした。また、先頭車両の運転台窓は曲面ガラスが用いられています。

塗装と外観

車両の塗色には、初期に赤系統の提案もあったものの、最終的には新幹線ブルーとアイボリーホワイトの青系統が選定されました。A編成は白い車体の上下に青い帯が施され、B編成は窓周りとスカートに青が塗られました。これらの色合いは、後の新幹線0系に受け継がれました。

運用実績

新幹線1000形電車は、1962年6月から鴨宮基地において本格的な試験運用を開始し、速度を上げていきました。特に1963年3月30日には、B編成が当時の電車としては世界最高速度となる256km/hを達成し、その成果として記念プレートが取り付けられました。また、A編成は1962年の8月に架線試験車として改造され、その後は改造の経歴を辿ります。

最後に、2005年には当車両のデザインが施された特殊切手が発売されるなど、今なお多くの人々に親しまれています。現在、C編成の一部は交通科学博物館に保存されており、当時の新幹線技術の歴史を後世に伝えています。

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