新幹線955形電車

新幹線955形電車 300X

新幹線955形電車、通称300Xは、1994年に完成したJR東海の高速試験用車両です。この電車は、日本の鉄道の中で、リニアモーターカーを除けば、最高速度443.0km/hを達成したことでも知られています。955形は、国鉄時代から進化してきた技術を基にしており、特に300系の開発における試行錯誤が色濃く反映されています。

背景

955形の開発は、1992年の国鉄分割民営化以来、新しい技術への強いニーズが生まれたことから始まりました。特に300系の営業運転が開始され、270 km/hへの速度向上が実現したことは大きな契機となりました。300系の開発では、ボルスタレス台車やVVVFインバータ制御など、多くの新技術が試験されました。そして、この新技術をさらに進化させるために955形が設計され、完全に試験専用の車両として登場しました。
955形は、複雑な曲線や勾配が多い東海道新幹線で、高速走行試験を行うために特に加速力を増加させられています。

構造

その車体構造は、アルミニウム合金によるボディーマウントを採用しており、次世代の車両製造に役立つデータを収集するために製造方法が各車両で異なります。先頭車両の形状も、東京寄りがラウンドウエッジ型、博多寄りがカスプ型というように異なっており、これにより比較可能な形になっています。

車両の性能と技術

主な駆動系には、PWMコンバータおよびVVVFインバータ制御が用いられています。このシステムは、高出力のサイリスタを搭載しており、連続的に405 kWを出力できます。また、主要な電気機器は三菱電機、東芝、富士電機の3社によって製造されています。
955形の台車は、セミアクティブなサスペンションを搭載したボルスタレス設計が採用されており、乗り心地や走行性能を高める工夫がなされています。そして、車体はオイルダンパで連結され、外的振動の抑制にも寄与しています。

車内の設計

955形の車内は、特徴的に2号車のみ座席が配置されており、残りの5両は試験データの収集室として使用されています。車両間の構造的な工夫として、プラグドア形式の側引戸が設けられ、乗客の快適さが考慮されています。
また、空調システムも独自のデザインを持ち、各車両ごとに工夫が施されています。

走行試験と記録

955形の走行試験は1995年から始まり、初期段階では270 km/hまでの性能確認が行われました。しかし試験は加速し、1996年には日本国内最高速度となる443.0 km/hを記録しました。この試験は、700系やN700系に関連する技術開発に資する形で続けられました。
その後、955形は2002年にすべての試験が終了し、役目を果たしました。 現在、955-1と955-6の先頭車両は静態保存されています。

保存状況

955形の中間車両は解体されたものの、先頭車である955-1は滋賀県の研究機関に保存されており、955-6は名古屋のリニア・鉄道館で見ることができます。これらの車両は、955形の技術と歴史を今に伝える貴重な存在です。

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