新幹線961形電車

新幹線961形電車

新幹線961形電車は、1973年に日本国有鉄道（国鉄）によって開発された試作電車で、全国新幹線網に対応するものとして設計されました。この電車は、全長6両からなる編成で、特に注目されるのはその革新性と性能です。

編成の特徴

961形電車の編成は、最大出力275kWの主電動機を搭載し、すべての車両が電動車となっています。電源周波数は50Hzおよび60Hzに対応可能で、特に東北新幹線など寒冷地を想定した耐寒耐雪仕様の設計がなされています。そのため、車両の両端には雪切室が存在し、雪に対する耐性が強化されています。

この電車の構造は、アルミ合金を用いたボディで、車両設計にはボディーマウント構造が採用されています。特に、客室窓がすべて小型となったのは新幹線では961形が初めてのことで、デザイン面でも革新がなされました。先頭車両のスカートには連結器が設置されており、分割や併合が容易に行えるようになっています。

室内設備

961形電車の室内は、人々の利用に適した設計が施されています。1号車・2号車・6号車は通常の座席車両で、3号車には当時とても珍しい食堂車が設けられました。この食堂車はアクセスのしやすさを考えて側廊下を採用し、食堂内には2人用および4人用のテーブル席が配置され、間接照明を利用した落ち着いた雰囲気が特徴です。

4号車は長距離用の寝台車として設計され、特別個室と普通寝台が設けられています。特別個室は最大6名まで対応可能で、プレミアムな空間作りがされています。室内デザインには木目調とエッチング模様が施され、宿泊時にも快適さを提供しています。

5号車は内装がなく、耐久試験のために剛性を調べる実験が行われる特殊な設計となっています。車両の実験設備を強化するために作られたこの車両は、装置の剛性や乗り心地に関するデータを取得する目的でも活用されます。

走行機器

961形の運行は、戦略的な電動機制御がなされており、力行制御では不等5分割サイリスタバーニア連続位相制御方式を採用しています。これにより、最高性能を発揮しつつ、エネルギーの効率的な利用も実現しています。

また、補助電源装置は、主に電動発電機（MG）が3台搭載され、車両内の電気機器は60Hzにて統一されています。これにより、運航の安定性が一層高められているのです。

自動運転システムの採用

961形には自動運転を実現するためのミニコンピュータシステム「ATOMIC」が搭載されています。このシステムは、将来的な自動運転を見越して設計されており、運転制御の効率化が図られています。定時運転や定速運転を実現するために、複雑な情報を瞬時に分析する機能を持っています。

試験運用

この新幹線は、複数の試験運用が実施され、特に1979年には319km/hの世界記録を達成しました。この記録は、961形が果たした重要な試験の成果であり、今後の新幹線技術の発展に大きく貢献しました。

現在の状況

現在、961形電車は新幹線総合車両センターに保存されており、その革新性を示す一部の車両が姿を残しています。また、過去の記録や資料もさまざまな場所で保存されており、新幹線の歴史において重要な役割を果たしています。961形電車は、技術的な試行錯誤の象徴であり、未来の高速鉄道技術の礎となった存在と言えるでしょう。

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