新庄橋 (広島市)

新庄橋：歴史と現代が交差する広島の橋

広島市を流れる太田川放水路に架かる新庄橋は、広島の歴史を刻む重要な橋梁です。広島県道277号古市広島線に属し、上流には祇園大橋、下流には三滝橋が位置しています。南詰からほど近い場所にはJR横川駅、北詰には広島市立長束小学校とJR安芸長束駅があり、古くからの街道と現代の交通網が交差する要衝となっています。

歴史の重み：雲石街道から現代へ

新庄橋は、かつて雲石街道（可部街道）の一部として機能していました。この街道は、広島藩初代藩主・福島正則が最初に整備したとされ、寛永期には公道として整備されました。新庄橋が架かる地点は、かつて安川（現在の三滝町あたりまで）を渡河する重要な地点でした。北側には、広島城下から1里の地点を示す一里塚「新庄一本木原」が設けられていたと伝えられています。

江戸時代中期には商品経済の発展に伴い、街道の整備が進み、人や物資の往来が盛んになりました。新庄橋の周辺には、荷馬車の人々に信仰されていた馬頭観音があり、毎年8月には例祭が行われていました。これらの史跡は、太田川放水路の改修に伴い移転されました。

新庄橋の最初の架橋時期は正確には分かっていませんが、1881年頃には雲石街道が車道として利用できるようになったとされています。1909年には大日本軌道広島支社線（現在の可部線）が開通、新庄橋停留場（新庄橋駅）も設置されました。

1932年に太田川放水路工事が決定し、それに伴い新庄橋の架け替えも決定しましたが、実際の工事は戦後になってから進められました。1945年8月6日の原子爆弾投下においても新庄橋は被害を免れ、多くの被爆者がこの橋を渡って北へ避難しました。しかし、横川からの道路は倒壊物で寸断されていたため、安川の土手を迂回し、新庄橋を渡って避難する人々が多数いました。橋に到着した被爆者の中には、安堵感から休息し、そのまま亡くなった人もいたと伝えられています。

戦後の太田川放水路工事と安川の流路変更により、1963年12月に新庄橋は現在地に移設されました。同年7月には可部線の完全切替が行われています。1953年には二級国道広島米子線（現国道183号）、1963年には国道54号に指定されましたが、1965年には国道は上流の祇園大橋に移管されました。現在では広島県道277号古市広島線に属しています。

現代の役割：地域社会の要衝

新庄橋は、現在も地域社会における重要な役割を担っています。周辺には学校や駅があり、多くの住民が利用する交通の要衝として機能しています。歴史と現代が交差するこの橋は、広島の歴史と人々の生活を繋ぐ重要な存在です。新庄橋の歴史を知ることは、広島の歴史を深く理解する上で欠かせません。

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