新怪物たち

イタリア式コメディの傑作『新怪物たち』：社会風刺とユーモアが織りなす群像劇

1977年、イタリアで製作されたオムニバス映画『新怪物たち』（原題：I nuovi mostri）は、マリオ・モニチェリ、ディーノ・リージ、エットーレ・スコラというイタリア映画界を代表する3人の巨匠監督がタッグを組んだ意欲作です。それぞれが異なる視点と独自の作風で描いた14のショートストーリーは、現代社会の様々な矛盾や人間の愚かしさを、痛烈な風刺とユーモアを交えて描き出しています。

本作は、1963年に公開されたディーノ・リージ監督の『怪物たち』の続編という位置づけでありながら、単なる焼き直しではなく、時代背景の変化を反映した新たな視点を提示しています。1970年代のイタリア社会が抱えていた問題を、それぞれの監督の個性を通して多角的に捉え、観客に問いかける作品となっています。

個性豊かなショートストーリー群

全14話のショートストーリーは、それぞれ独立した作品でありながら、全体として統一感を持たせています。各エピソードは、日常の些細な出来事から社会問題まで、幅広いテーマを扱っています。例えば、地方の閉塞感や官僚主義の弊害、人間関係の複雑さ、現代社会の倫理観の欠如など、現代社会に通じる普遍的なテーマが取り上げられています。

監督3人の個性もまた、本作の魅力のひとつです。スコラ監督のシニカルなユーモア、リージ監督の緻密な構成力、モニチェリ監督の人間観察眼が、それぞれのエピソードに深みを与えています。

豪華キャスト陣

本作には、ヴィットリオ・ガスマン、オルネラ・ムーティ、アルベルト・ソルディ、ウーゴ・トニャッツィなど、イタリア映画を代表する名優たちが多数出演しています。彼らの卓越した演技が、それぞれのキャラクターにリアリティを与え、物語に説得力を加えています。

国際的な評価

『新怪物たち』は、イタリア国内だけでなく、海外でも高い評価を得ています。1980年には、アカデミー外国語映画賞にノミネートされ、その高い芸術性を世界に認められました。

日本での状況

日本では、イタリア文化会館等での上映は行われてきましたが、劇場公開やDVDリリースはされていません。そのため、日本ではあまり知られていない作品ですが、イタリア映画ファンには必見の作品と言えるでしょう。

作品概要

タイトル: 新怪物たち (I nuovi mostri)
製作年: 1977年
製作国: イタリア
監督: マリオ・モニチェリ、ディーノ・リージ、エットーレ・スコラ
脚本: アジェノーレ・インクロッチ、ルッジェーロ・マッカリ、ジュゼッペ・モッチア、エットーレ・スコラ、ベルナルディーノ・ザッポーニ
出演: ヴィットリオ・ガスマン、オルネラ・ムーティ、アルベルト・ソルディ、ウーゴ・トニャッツィ、他

まとめ

『新怪物たち』は、イタリア映画史に残る傑作オムニバス映画です。ユーモアと風刺を巧みに織り交ぜた社会風刺劇は、現代社会の様々な問題を鋭くえぐり出し、観客に考えさせます。豪華キャスト陣と名匠監督たちの競演も必見です。機会があれば、ぜひ鑑賞してみて下さい。

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