新撰落語もぎた亭

新撰落語もぎた亭：上方落語界を牽引する新作落語の祭典

新撰落語もぎた亭は、上方落語協会所属の落語家たちが集結し、未発表の新作落語のみを披露する、他に類を見ない落語会です。1992年の初開催以来、2023年11月現在で88回を超える公演を重ね、上方落語界における新作落語の発展に大きく貢献しています。

発足の経緯と歴史

1992年、笑福亭福三（後の二代目森乃福郎）、露の都、桂蝶六（後の三代目桂花團治）、桂福車の4名によって「落語一番搾り」という名称でスタートしました。古典落語と新作落語のバランスを重視していた笑福亭福三を中心に、門閥を超えた協働体制で、年に2～3回のペースで大阪市内にて開催されています。当初から、4人の落語家がそれぞれ新作落語を1席ずつ披露するという形式が貫かれています。

その後、メンバーチェンジを繰り返しながらも、常に新作落語への探求を続け、2001年には現在の名称「新撰落語もぎた亭」に変更。2008年には50回記念公演を天満天神繁昌亭で開催するなど、長年に渡り愛され続けている落語会です。2018年には創設メンバーである二代目森乃福郎が勇退、近年も桂まめだなど若手落語家の参加により、伝統と革新が共存する舞台となっています。

もぎた亭の特色：ネタ下ろしと外部作家への委託

新撰落語もぎた亭の最大の特徴は、すべての演目がその日初めて披露される「ネタ下ろし」である点です。観客は、演者自身も初見となる、全く新しい落語を体験することになります。演目タイトルだけではオチが想像できない、まさにサプライズに満ちた舞台です。

また、多くの新作落語が落語家自身によって創作される中、新撰落語もぎた亭では、外部の作家に台本制作を委託するという独自のスタイルを採っています。これは、創設メンバーの笑福亭福三が新作落語の活性化のため、落語台本作家の育成も必要だと考えたことに由来します。10名程度の作家から集められた台本の中から、演者自身が気に入った作品を選び、舞台で披露されます。

多彩なメンバーと継続性

長年の歴史の中で、多くの落語家が新撰落語もぎた亭に参加してきました。創設メンバーに加え、林家花丸、桂文福、露の団四郎、笑福亭呂竹、笑福亭松五など、上方落語界を代表する顔ぶれが名を連ねています。各々が持ち味を発揮し、多様な新作落語が次々と生み出されています。中には、もぎた亭で好評だった演目を、自身の持ちネタとして他の公演で演じる落語家もいるなど、落語界全体への影響も大きいと言えるでしょう。

番外編：東京公演や特別公演

本編以外にも、東京公演や特別公演、地方公演など、様々な番外編が開催されてきました。これらは、新作落語を披露するという意味では本編と同様ですが、ネタ下ろしではない演目も含まれているため、番外編として区別されています。これらの公演を通じて、新撰落語もぎた亭は、上方落語の輪をさらに広げ、多くの観客に新鮮な笑いを届けてきました。

まとめ

新撰落語もぎた亭は、新作落語というチャレンジングなテーマを掲げ、ベテランから若手まで多くの落語家を巻き込みながら、常に進化を続ける落語会です。その独自性と高いクオリティは、上方落語界のみならず、日本の落語界全体にとって貴重な存在と言えるでしょう。今後も、新たな才能の発掘と育成、そして観客を魅了する独創的な新作落語の創作に期待したいものです。

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