新月社

新月社の概要

新月社（しんげつしゃ）は、20世紀前半の中華民国で活躍した文学団体で、徐志摩、胡適、梁実秋、聞一多などの著名な文人が参加しました。彼らは新文化運動の流れの中で、中国の詩を近代化することを目的としていました。自由主義を信奉する彼らは、「健康」と「尊厳」を団体の基本理念とし、政治的要素を排除した自由な表現の場を求めました。

設立背景

新月社は1923年に北京で創設され、サロンのような形式で運営されました。団体名は、インドの詩人ラビンドラナート・タゴールの詩集『The Crescent Moon（新月集の中文訳）』に由来しています。ただし、設立当初の活動はあまり活発ではなかったのです。

1925年には活動を再開し、様々な分野から人々を集めましたが、意見の不一致が生じ、団体のまとまりは失われてしまいました。徐志摩や聞一多、饒孟侃といったメンバーは、当時の政治的状況を背景に、南下しながら文筆活動を続けました。

新月書店と雑誌『新月』

1927年には徐志摩が資金を集めて上海に新月書店を設立し、胡適を理事長に迎えることになりました。1928年3月には文芸月刊誌『新月』を発行し、徐志摩と聞一多、饒孟侃が編集に当たることになりました。彼らは、創刊の辞で「健康」と「尊厳」の二つの原則を強調し、これは新月社の理念と深く結びついていました。

特に、徐志摩の「新月的態度」は、文学を通じて自由な思想を求める姿勢を明確に示しています。

理念と文学的活動

新月社は、詩を通しての「人間性」の探求を重視しました。梁実秋は、感傷主義に反対し理知を重んじる姿勢を持ち、文学の力は拡張にあるのではなく集中にあると説きました。また、彼は文学を人間性の産物として見なす立場を取り、古典主義的な価値観を尊重しました。

徐志摩、胡適、聞一多などの詩人たちの活動は、当時の左翼文学と対立し、特に梁実秋の人間性論は激しい批判の対象となりました。それでも「新月派」としての活動は、詩の近代化に向けた重要な一歩と見なされています。

影響と解散

新月社の活動は1931年に徐志摩が飛行機事故で亡くなると終焉を迎えました。1933年には雑誌『新月』も停刊し、彼らの文学的影響は徐々に薄れていきましたが、彼らが創り上げた詩的美学や思想形態は、後世に大きな足跡を残しました。詩においては徐志摩や聞一多の優れた作品が高く評価され、文学だけでなく思想や政治に関する議論にも寄与したのです。

このように新月社は、近代中国における文化的潮流の中で重要な役割を果たし、今なおその影響が語り継がれています。

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