新木栄吉

新木栄吉

新木栄吉（あらき えいきち、1891年4月24日 - 1959年2月1日）は、大正から昭和時代にかけて重要な役割を果たした日本の銀行家です。彼は二度にわたり日本銀行の総裁を務めたほか、戦後初の駐米大使としても知られています。

来歴

新木は石川県小松町（現在の小松市）で生まれました。彼は石川四中と第四高等学校から首席で進み、1916年には東京帝国大学法科大学政治学科を卒業します。同年、日本銀行に入行しました。

銀行でのキャリアは、国庫局や大阪支店での業務を経て、1922年から1926年および1935年から1937年の2回にわたりニューヨークに駐在するなど、多岐にわたりました。その後、外国為替局長や営業局長を歴任し、最終的には副総裁まで昇進します。1945年10月、渋沢敬三が大蔵大臣に就いた際に、その後任として日銀の総裁に昇格しました。興味深いことに、日銀でのキャリアを通じて一度も民間企業に転出することなく、彼はこの地位についた最初の人物でした。

しかし、悲しいことに新木は翌年の1946年6月に公職追放の措置を受け、わずか8か月で職を辞することになりました。追放が解除されたのは1951年で、この年に設立された東京電力の会長に迎えられます。さらに翌年には、戦後初の駐米大使としてワシントンD.C.に赴任することになりましたが、新木通告事件が発生し、翌1953年12月には解任される運命を辿ります。

その後、1954年にはかつて自身の後任として日銀の総裁になった一万田尚登が、第1次鳩山一郎内閣の大蔵大臣に就任した際、新木は再び日銀総裁に就任します。このときは8年ぶりの総裁職でしたが、2年後の病気により再び辞任することとなります。

新木栄吉は、金融界での影響力や政治的な役割を通じて日本経済に大きな足跡を残しました。その生涯は、日本の金融政策や外交の変化を象徴するものであり、今でも多くの研究者によって語り継がれている重要な人物です。彼の業績は、当時の日本の経済状況を理解する上で欠かせないものといえるでしょう。

参考文献

• - 吉野俊彦『歴代日本銀行総裁論―日本金融政策史の研究』（毎日新聞社 1976年、新版・講談社学術文庫 2014年（鈴木淑夫補論））
• - 秦郁彦『日本近現代人物履歴事典』（東京大学出版会）

外部リンク

• - 第17、19代総裁：新木栄吉 - 日本銀行

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