新柳町 (名古屋市)

新柳町（しんやなぎちょう）

新柳町は、かつて愛知県名古屋市に存在した地名です。現在の名古屋市中区の広小路通沿い、具体的には木挽町通から長者町通までの区間に位置していました。この地域は、名古屋の歴史と発展を語る上で重要な場所の一つです。

地理

1915年（大正4年）の記録によると、新柳町は1丁目から7丁目までが存在し、東西に約134間（約244メートル）の長さがありました。北側には園井町が隣接し、東側は栄町1丁目に続いていました。この地理的な位置関係から、当時の新柳町が名古屋の中心部における重要な商業地域であったことが伺えます。

歴史

新柳町の歴史は、明治初期の行政区画の変更とともに始まります。

1871年（明治4年）：堀切筋の一部を基に、愛知郡新柳町が成立しました。この時、新柳町はまだ名古屋区ではなく、愛知郡に属していました。
1878年（明治11年）12月20日：名古屋区への編入に伴い、名古屋区新柳町となりました。これにより、新柳町は名古屋市の都市機能の一部として組み込まれることになりました。
1889年（明治22年）10月1日：名古屋市の成立に伴い、名古屋市新柳町となりました。この時点から、新柳町は正式に名古屋市の一部として行政が行われるようになりました。
1908年（明治41年）4月1日：名古屋市が区制を施行し、新柳町は中区新柳町となりました。この時、名古屋市内が複数の行政区に分けられ、新柳町は中区という新たな行政区に所属することになりました。
1923年（大正12年）8月29日：西区島田町の一部が編入され、新柳町の範囲が若干拡大しました。これは、都市開発や区画整理によるものでしょう。
1936年（昭和11年）1月1日：中区広小路通に編入され、新柳町としての歴史を終えました。この時、新柳町は独立した町名としての存在を失い、広小路通の一部となりました。

施設

新柳町には、共同火災保険名古屋支店が1912年（明治45年）1月に開設されていました。この事実は、当時の新柳町が経済活動の中心地の一つであったことを示唆しています。火災保険の支店が設置されるほど、この地域は商業活動が活発であったと考えられます。

まとめ

新柳町は、明治時代から昭和初期にかけて、名古屋の発展とともに変遷を遂げた町です。その地理的な位置から、商業活動が盛んな地域であり、名古屋の歴史を語る上で欠かせない存在でした。町名としては消滅しましたが、その場所は今も名古屋市中区の一部として、その歴史を静かに伝えています。

参考文献

鷲尾重一 編『名古屋市中区史』名古屋市中区役所、1944年2月10日。NDLJP:1042158。
名古屋市会事務局 編『総合名古屋市年表』 明治編、名古屋市会事務局、1961年12月25日。全国書誌番号:49011381。
「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 23巻《愛知県》、角川書店、1989年3月8日。ISBN 4-04-001230-5。
角川書店 編『なごやの町名』名古屋市計画局、1992年3月31日。

関連項目

* 名古屋市の地名

もう一度検索