新歌舞伎座 (東京)

新歌舞伎座の歴史とその影響

新歌舞伎座（しんかぶきざ）は、1929年に東京の新宿区に開場した歌舞伎劇場です。この劇場は当初、歌舞伎を中心とした興行を行っており、観客には特に山手のインテリ層が多く集まりました。1960年まで姿を保ったこの場所は、日本の舞台芸術において重要な役割を担っていました。

開場と公演の歴史

新歌舞伎座のこけら落とし興行は、初代中村吉右衛門一座によるものでした。その後、曾我廼家五郎一座や新派、さらには新国劇といった多様な公演が行われ、歌舞伎の伝統を守りながらも、新しい形の舞台芸術にも挑戦していました。1933年には、四代目片岡我當や三代目坂東志うかの「青年歌舞伎」が常打ち劇場として定着し、この劇場が新たな若手の才能を育てる場となりました。

1934年には内部が改装され、「新宿第一劇場」と名を改め、松竹少女歌劇団（SSK）の拠点にもなりました。しかし、SSKは1937年に新たに建設された浅草の国際劇場へ移転、その結果新歌舞伎座は1938年から映画館へと変貌を遂げます。

戦争の影響と転機

第二次世界大戦中、1942年には戦時統制が敷かれる中で新歌舞伎座も紅系の映画館として運営されましたが、演劇興行もしばしば再開されていました。戦後の1947年には再び映画館としての営業を再開し、映画の人気が高まる中でその役割を持ち続けました。

1958年には「新宿松竹座」と改称され、歌舞伎に重きを置く劇場に戻ったものの、1959年には再び「新宿第一劇場」と称されましたが、1960年には閉鎖してしまいました。この劇場の閉館後、敷地は三越が引き継ぎ、新宿三越の駐車場として利用されたり、後に新宿三越南館が建設されるなど、時代と共に変貌を遂げていきました。

新宿近隣の劇場との関係

興味深いのは、「新歌舞伎座」と名称も似ている「新宿歌舞伎座」が存在することです。この二つの劇場は、同じ新宿の地にあり、経営や公演に関する歴史が交差することから、時折混同されることがあります。特に新宿歌舞伎座は、松尾國三によって経営され1937年まで続いたという経緯もあり、二つの劇場の運命が重なる部分も存在します。

新歌舞伎座は、その名の通り歌舞伎文化の発展に貢献した劇場であり、設立から閉鎖に至るまで、様々な歴史的な役割を果たしました。歌舞伎や演劇のスタイルの変遷を目の当たりにすることができる、貴重な存在だったと言えるでしょう。

現況

現在、新歌舞伎座があった場所は大塚家具新宿ショールームとして利用されていますが、当時の華やかな舞台や多くの観客で賑わった日々を懐かしむ人々にとっては、一つの歴史の象徴として残っています。大正から昭和の移り変わりを映すこの劇場の存在は、今でも関心を引き続けています。

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