新潟みなとトンネル

新潟みなとトンネルは、新潟市中央区の新潟島と東区を結ぶ、信濃川河口部の水底トンネルです。正式名称は新潟港臨港道路入舟臨港線で、その一部として機能しています。2005年には土木学会デザイン賞を受賞しており、その設計美も評価されています。

概要

このトンネルは、新潟西港の港域である信濃川河口部の川底を通り、中央区入舟地区と東区山の下地区を繋いでいます。2002年5月に暫定供用を開始し、2005年7月に全面供用が開始されました。水底部分は、8つの沈埋函で構成され、1函あたり全幅28.6m、全高8.9m、全長105mまたは108m、総重量は約26,000tという巨大な構造物です。トンネル部分の全長は1,423m、ルート全体の総延長は3.26kmに及び、「水都回廊」という愛称で親しまれています。車道は往復分離4車線で、トンネル両側には自転車歩行者道が設けられています。全線が臨港道路であり、建設事業は国土交通省が直轄で行い、管理は新潟県が行っています。通行は無料ですが、危険物積載車両はトンネル部の通行が禁止されています。

構造と特徴

新潟みなとトンネルは、信濃川の最も河口部に位置する横断施設です。上流約3kmには、同じく2002年に供用開始された柳都大橋があります。また、新潟西港一帯は「みなとオアシス」として登録されており、トンネルとみなとタワーはみなとオアシス新潟を構成する施設の一部です。

トンネルの基本情報は以下の通りです。

名称: 新潟港臨港道路入舟臨港線
事業主体: 国土交通省北陸地方整備局
施設管理: 新潟県
総延長: 3,260m
構造基準: 第4種第1級（設計速度60km/h）
新潟みなとトンネル
延長: 1,423m（うち沈埋部850m）
車線数: 往復分離4車線
総幅員: 26.6m
1車線幅員: 3.25m
最高縦断勾配: 4.0%
自転車歩行者道: 幅員3.0m（車道部両側）

歴史

かつて、信濃川下流部には萬代橋より下流に両岸を結ぶ手段がなく、長年にわたり連絡路建設が求められていました。1960年代以降、モータリゼーションの進展に伴い、港湾関連交通が市内中心部に集中し、深刻な渋滞を引き起こしました。有料道路「みなと大橋」の建設構想もありましたが、1975年に凍結されました。その後、交通量の増大は続き、新潟県が1983年から「新潟港周辺整備計画調査」を実施し、「万代島ルート」（柳都大橋）と「港口部ルート」（みなとトンネル）の2経路が提案されました。1986年、「新潟港港湾計画」が改訂され、水底トンネルの建設が決定しました。

トンネルの構造形式は、航空機の離着陸や船舶の航路確保、総事業費の抑制などの観点から、トンネル形式が採用されました。また、沈埋工法によりトンネル本体を陸上で製作することが可能となり、この工法が採用されました。1991年に、トンネルの名称「新潟みなとトンネル」と愛称「水都回廊」が一般公募で決定しました。1989年から沈埋函の製作が開始され、2000年 8月にトンネルが貫通しました。沈埋トンネル工法は、日本海側で初の事例となりました。

2002年5月にトンネル部が暫定2車線で開通し、2005年7月に陸上部が開通、4車線化され全面供用を開始しました。総事業費は約1400億円に達しました。

立坑（みなとタワー）

新潟みなとトンネルの両岸には、それぞれ立坑（換気塔）が設けられています。設計は建築家小林克弘氏によるものです。立坑はトンネル内の換気を行うためのもので、地上部には全高約40mの換気塔が設置されています。周辺環境への配慮から、形状の異なる4本のタワーを備えたデザインが採用されています。左岸側を「入船みなとタワー」、右岸側を「山の下みなとタワー」といい、双方の形状が微妙に異なる「カップル型ツイン」のデザインが特徴です。

両タワーの最上階は展望施設として一般開放されており、日本海や新潟市街、佐渡島などを望むことができます。また、トンネル内の自転車・歩行者道と直結しており、徒歩でタワー間を回遊することも可能です。

入船みなとタワー
所在地: 新潟市中央区海辺町
全高: 40.2m
地上8階・地下4階
7階: 展望室
6階: 休憩室
4階: テラスエントランス
1階: エントランスホール
開業: 2002年3月
山の下みなとタワー
所在地: 新潟市東区臨海町
全高: 40.2m
地上6階・地下4階
6階: 展望展示室
4階: テラスエントランス
3階: プラザエントランス
1階: エントランスホール
開業: 2002年5月

その他

トンネルの開館時間は、季節によって異なり、4・5・9月は9時から19時、6-8月は9時から19時30分、10-3月は9時から17時30分までです。入館料は無料です。

主な接続道路としては、新潟港臨港道路入舟1号線、新潟市道中央3-176号、新潟市道東1-54号、新潟県道4号新潟港横越線、国道113号などがあります。バス路線としては、新潟交通が2路線運行しており、トンネルを経由して市内各地を結んでいます。

毎年2月には、トンネルの設備点検のため、夜間に車道部が通行止めになりますが、自転車・歩行者道は通行可能です。自転車歩行者道は、市民にウォーキングやサイクリングのコースとして親しまれています。また、付近の新潟大学教育学部附属新潟中学校の完歩大会でも、このトンネルがコースの一部に組み込まれています。過去には、悪天候によりトンネルが冠水し、通行止めになったこともあります。

新潟みなとトンネルは、地域住民の生活を支える重要なインフラであり、美しい景観とともに、多くの人々に利用されています。

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