新潟県北部地震

新潟県北部地震（にいがたけんほくぶじしん）

1995年4月1日の午後0時49分に、新潟県北部に位置する当時の笹神村（現在の阿賀野市の一部）を震源として発生したマグニチュード5.6の地震です。この地震は「新潟県北部の地震」とも呼ばれることがあります。

揺れの状況と震度

地震発生時、観測された最大震度は4でした。しかし、県指定文化財である市島邸の湖月閣が完全に倒壊したのをはじめ、笹神村を中心に多くの住宅が全壊または半壊するなどの深刻な建物被害が多数報告されました。この被害状況を考慮し、気象庁は最大震度を5に訂正しました。さらに、震源の深さが比較的浅かったことから、震央付近のごく狭い範囲（およそ5.6km×1kmの領域）では、局地的に震度6に匹敵する非常に強い揺れが発生していた可能性が推測されています。実際に、震央地に近い上高田地区にある熊野神社では、重力加速度を上回るほどの激しい振動によって生じたとみられる痕跡が確認されました。

震源の特定と深さ

地震発生当時、震源のすぐ近くには地震計の観測点がありませんでした。このため、地震発生直後は、やや離れた場所にあった気象庁の観測データに基づく解析から、震央は新潟県沖の加治川沖と発表され、内陸部の笹神村で被害が発生したと報道されました。しかしその後、他の研究機関などが持つ観測データを合わせて詳細な解析を行った結果、震央は羽越本線の神山駅と月岡駅のほぼ中間点にあたる笹神村上高田付近であると特定されました。また、震源の深さについても、気象庁の解析では16kmとされていますが、別の解析では10kmとする結果も出ており、異なる見解が存在します。

地震発生に至る背景

今回の地震が発生した震源域は、1964年に発生した新潟地震の余震域の南端にあたります。それまでこの地域では、地震活動は特に活発ではありませんでした。しかし、地震発生の約半年前、1994年の10月頃から、この地域で地震が連続して発生する群発地震活動が始まりました。1994年12月には、マグニチュード4から5程度の比較的規模の大きな地震も散発的に発生しています。今回の新潟県北部地震は、その後の余震活動の観測から、一連の群発地震活動の一部として発生したものであることが明らかになっています。

震源断層の性質

この地震を引き起こした断層は、当時すでに知られていた活断層の活動によるものではありませんでした。地下に隠れていて、まだ認識されていなかった未知の「伏在断層」の活動によって発生した地震と考えられています。震源の場所は、新潟市周辺に存在する、地震の発生が比較的少ないとされる「地震空白域」の東端にあたります。この地域では、一部の研究者によって、以前から大地震が発生する可能性が指摘されていました。

余震活動

本震に続く余震活動の中で、最も規模の大きかった地震は、本震の翌日、4月2日に発生したマグニチュード5.2の地震でした。

被害概要

この地震による人的被害としては、残念ながら82名の方が負傷されましたが、幸いにも亡くなられた方はいませんでした。建物被害については、笹神村を中心に多数の住家が全壊・半壊する被害が発生しました。
特に、前述の市島邸湖月閣の全壊は、大きな影響を与えました。

前兆現象

一連の群発地震活動以外にも、本震の前後には地下水や温泉に異常が見られました。震源に近い月岡温泉では、温泉の湧出量が増加したり、井戸で水が自然に噴き出す自噴現象が観測されるなどの報告がありました。

この地震は、震源が浅く、未知の伏在断層によるものであったこと、そして群発地震に続いて発生したことなど、いくつかの特徴を持つ地震でした。

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