新田圭二

新田圭二：宇部市の発展に尽力した政治家・経営者

新田圭二（にった けいじ）は、明治42年（1909年）8月27日に生まれ、平成8年（1996年）12月14日に没した、日本の政治家であり経営者です。彼は、宇部興産（現UBE）の幹部として手腕を発揮した後、第17代宇部市長として市政に貢献しました。

生い立ちと宇部興産での活躍

新田圭二は、慶應義塾大学法学部を卒業後、宇部興産に入社しました。同社では、取締役山陽無煙鉱業所長や宇部化学工業（後の宇部マテリアルズ）専務取締役といった要職を歴任し、経営者としての才能を発揮しました。また、私財を宇部市に寄付したことで、紺綬褒章を受章しています。

宇部市議会議員から市長へ

新田は社業と並行して宇部市議会議員も務め、教育委員や市議会副議長を歴任しました。そして、昭和48年（1973年）には、宇部市長選挙に保守系無所属候補として出馬し、日本共産党の新人を破って初当選を果たしました。

宇部市長としての功績と課題

市長在任中、新田は山口厚生年金休暇センター（後のウェルサンピア宇部）の誘致を決定し、市内中心部にバス・タクシー・自動二輪専用レーンを導入するなど、都市機能の向上に尽力しました。しかし、税収の落ち込みと高いラスパイレス指数に直面し、「財政危機白書」を発刊するなど、財政問題にも取り組みました。炭鉱離職者の中途採用により職員の平均年齢が上昇していたこともあり、職員労働組合との間で待遇改善を巡る交渉も行われました。

宇部興産との関係と退任

新田市政は、宇部興産との関係を巡り、宇部市職員労働組合から批判を受けることもありました。当時の宇部興産社長との対談で、次期市長選挙への出馬を促されたことが、「興産市政」と批判される一因となりました。しかし、新田は1期限りでの引退を表明し、後継には宇部興産社長の甥が就任しました。

市長退任後の活動と評価

市長退任後、新田は宇部興産グループに戻り、日本石灰工業所社長を務める傍ら、自民党宇部支部長に就任するなど、政財界で活動を続けました。

宇部市職員労働組合は、新田市政を批判しつつも、退任にあたっては労いの言葉を贈っています。団体交渉では冷徹な一面を見せる一方、ユーモアのセンスも持ち合わせていた新田を惜しむ声もありました。

家族と人柄

新田の父は、宇部興産の前身の一つである炭鉱の取締役を務めていました。新田自身も、親交のあった宇部市出身の画家・松田正平の絵画を市長室に飾り、来客に楽しそうに解説していたといいます。

新田圭二は、宇部市の発展に尽力した政治家・経営者として、その功績は今も語り継がれています。

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