新町検車区

新町検車区

新町検車区（しんまちけんしゃく）は、神奈川県横浜市神奈川区東神奈川二丁目に設けられている京浜急行電鉄（京急）の主要な車両基地の一つです。この施設は京急本線の神奈川新町駅に隣接しており、また東日本旅客鉄道（JR東日本）の鎌倉車両センター東神奈川派出所にも近接する立地にあります。

京急における車両保守の重要な役割を担っており、ここでは京急線を走行する多数の車両が日常的な点検や定期的な検査、整備を受けています。

概要

新町検車区で日々行われている主な業務には、比較的短期間で行われる「列車検査」と、より詳細な点検を含む「月検査」、そして車両の快適性を保つための清掃作業などがあります。特に月検査については、配置されている車両のうち、主に6両編成と4両編成の電車、および事業用車の検査を受け持っています。ただし、全ての車両がここで検査されるわけではなく、1500形電車の一部（主に6両編成）や、主力の1000形電車（8両編成）の月検査は金沢検車区で行われています。逆に、金沢検車区に所属する車両の一部、例えば1500形の6両編成や1000形の6両編成、4両編成の一部も、当検車区で月検査が実施されることがあります。このように、両検車区間で検査業務の一部を相互に分担しているのが特徴です。

また、この検車区は京急が保有する検車区の中で唯一、車輪旋盤設備を備えている点も特筆されます。車輪は列車の安全運行において極めて重要な部品であり、定期的な削正（旋盤による形状修正）が必要です。この設備があることで、車輪の摩耗や傷に対応し、安全性を維持するための重要な作業を自社施設内で行うことが可能となっています。一方で、金沢検車区に設置されているような汚物処理施設は当検車区にはありません。

さらに、新町検車区に所属する係員の一部は、本線上で万が一車両故障が発生した場合に備え、主要駅である品川駅に常駐しています。これにより、迅速な現場対応が可能となり、列車の運行への影響を最小限に抑えるための体制が整えられています。

設備

新町検車区の敷地面積は約46,940平方メートルを有しており、広大なスペースを活かして多数の車両を収容・整備できる能力を備えています。具体的な設備とその能力は以下の通りです。

敷地面積: 46,940 m²
収容能力: 最大198両
月検査線: 3線 - 詳細な定期検査を行うための設備
列車検査線: 2線 - 日常的な点検を行うための設備
修繕線: 1線 - 車両の修理・調整を行うための設備
洗浄線: 3線 - 車両の外側を洗浄するための設備
車輪転削場: 1箇所 - 車輪の形状を修正する専用設備

これらの設備が連携して機能することで、多数の車両の検査・整備・清掃といった作業が効率的に行われています。

沿革

新町検車区は、1953年（昭和28年）11月1日に開設されました。開設当初から京急の車両保守を担う拠点として機能していましたが、その後、1964年（昭和39年）2月16日には、それまで川崎検車区が担当していた空港線や大師線で運用される車両の検査業務も引き継ぐことになりました。これにより、新町検車区の担当範囲は拡大しました。

その後も、京急線の輸送力増強や車両数の増加に伴い、施設の能力向上や効率化を図るため、設備の新設や改修工事が何度か実施されてきました。これらの取り組みにより、今日の新町検車区は、進化し続ける鉄道輸送を支える重要な役割を果たし続けています。

配置車両

2024年（令和6年）4月1日現在、新町検車区には合計250両の車両が配置されています。京急の営業用車両から事業用車両まで、多岐にわたる形式の車両が所属しており、ここを拠点に日々の運用に就いています。

配置されている主な車両形式と編成数、両数は以下の通りです。

1000形: 166両
8両編成 6本
6両編成 13本
4両編成 12本
600形: 24両
4両編成 6本
1500形: 56両
6両編成 8本
デト11・12形: 2両
2両編成 1本（事業用車）
デト17・18形: 2両
* 2両編成 1本（事業用車）

特に1000形は京急の主力形式であり、様々な編成パターンで当検車区に多数が配置されています。また、珍しい事業用車であるデト形貨車もここに所属しており、保守作業などを支えています。

新町検車区は、これらの車両の安全と安定した運行を維持するための基盤となる施設であり、京急の鉄道ネットワークを支える上で欠かせない存在です。

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