新聞学院 (1932年設立)

新聞学院の概要とその影響

新聞学院（しんぶんがくいん）は、1932年に設立された日本初の本格的な記者養成校であり、1942年までのわずか10年間に332名の卒業生を輩出し、約200名のジャーナリストを世に送り出しました。この学院は夜間1年制のプログラムを提供し、多様な背景を持つ学生が在籍していました。

学院設立の中心人物である山根真治郎は、当時の著名な新聞社である『国民新聞』などでの経験を活かし、教育に特化したカリキュラムを構築しました。彼はアメリカのミズーリ大学のジャーナリズム教育課程を参考にし、著名な講師陣を集めて授業を行いました。その中には、徳富蘇峰や緒方竹虎、さらには伊藤正徳や杉村楚人冠といった新聞業界の重鎮が名を連ねていました。

開校時、山根は三井財閥の支援を受けて、東京都神田三崎町に校舎を設置しましたが、後に学院は銀座に移転しました。このようにされた背景には、中央に位置する銀座の方が、学生にとって通学しやすい環境を提供できたことがあります。この学院には、大学生や現役の新聞社の社員が多く集まり、彼らは相互に刺激を与え合いながら学びました。

学院の授業は実践的な内容が中心で、特に取材技術や執筆術に重点が置かれていました。学生たちは、実際のニュース現場や取材を通じて、即戦力としてのスキルを磨くことができました。これにより多くの卒業生が、各新聞社でジャーナリストとして成功を収めました。

しかしながら、1942年8月に山根は学院長職を辞任し、その後、新聞学院も閉校となりました。短い活動期間ながらも、学院の影響力は計り知れないものがありました。学院で発行された機関誌『学報』は、33冊が刊行され、うち29冊が現存しています。これらは後に復刻出版され、多くの人々に再び手に取られることとなりました。

主な出身者

新聞学院からは数々の有名なジャーナリストが輩出されました。その中でも特に注目されるのが、読売新聞の副社長を務めた原四郎、報知新聞の常務を経て読売新聞出版局長に就任した金久保通雄、毎日新聞において記者を務めた後、随筆家としても活動した小門勝二などがいます。さらに、山根康治郎（中日新聞経済部長）は山根真治郎の娘婿であり、古谷糸子（東京日日新聞〜毎日新聞記者）は古谷綱正の妻でもあります。

このように新聞学院は、短い歴史の中でありながら、日本の報道システムに多大な影響を与え、後世にわたってその精神が受け継がれることとなりました。

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