『
新聞記者』は
2019年に公開された日本の社会派
サスペンスフィクション映画です。東京
新聞所属の
記者・
望月衣塑子の同名著作を基に、ジャーナリズムの現場と
官僚の複雑な関係を描いています。監督は
藤井道人で、主演には
松坂桃李と
シム・ウンギョンが名を連ねています。
あらすじ
物語の主人公は、
新聞社・東都
新聞の若手
記者である吉岡エリカです。彼女は
ジャーナリストである父親が
誤報によって命を落とした経験を持ち、その影響から政府や権力に対して疑問を持つようになります。
記者会見の場では大胆に鋭い質問を浴びせ、周囲から疎外されつつも真実を追い求める姿に強いコミットメントが感じられます。
ある日、彼女は大学新設に関する調査を命じられます。その調査を進める中で、
内閣府の神崎という人物の存在に辿り着きますが、突然神崎が自殺してしまいます。彼の死に疑問を抱いた吉岡は、エリート
官僚・杉原拓海と出会います。杉原もまた神崎の死がただの自殺であるとは思えず、共に捜査を進めることになります。
彼らは次第に、新設大学の裏に潜む驚愕の真実、すなわち政府の医療系大学への資金投入が実は生物武器開発に繋がっていることに気づきます。記事として発表しようとする吉岡の前に立ちふさがるのは、
内閣府の圧力です。しかし杉原の協力を受け、彼らは真実を世に送り出すことを決意します。
キャスト
この作品では、
シム・ウンギョンが吉岡エリカ役を、
松坂桃李が杉原拓海役を演じています。その他にも
本田翼、
岡山天音、
郭智博など、多彩なキャストが揃っています。特に、シムの演技は高く評価され、彼女は最優秀新進女優賞を受賞しました。
制作の背景
監督の
藤井道人は、本作に取り組むにあたり、
新聞記者や
官僚の現場での実情を徹底的に取材しました。彼は政治への無関心だった初期の自分から、物語を通じて社会問題に向き合う姿勢が成長したことを語っています。また、映画公開後には望月
記者自身を追ったドキュメンタリー映画も企画されています。
評価と受賞歴
『
新聞記者』は多くの映画賞にノミネートされ、受賞の栄誉も多い作品です。特に監督や主役の演技に対する高評価が際立っています。映画や演技のリアリティが観客の心を掴み、さらには社会的メッセージも強い映画であるため、幅広い層から支持されました。
2022年には
米倉涼子主演により、
Netflixでオリジナルシリーズ化されました。そこでも政治における腐敗や権力との対峙といったテーマが描かれ、新たな視点から物語が展開されています。映画版とはまた異なるキャラクターとストーリーが絡む群像劇として、多面的に現実を問う作品に仕上がっています。
「
新聞記者」は、現代社会が抱える問題を映し出し、
報道の自由について考えさせられる貴重な作品です。見応えのあるストーリーと深いメッセージを持つ本作は、多くの人々に影響を与えることでしょう。