新聞記者 (映画)

映画『新聞記者』とNetflixドラマ版の詳細解説

映画『新聞記者』（2019年）

映画『新聞記者』は、ジャーナリストの父親を亡くした女性新聞記者・吉岡エリカが、内閣府の陰謀に立ち向かう姿を描いた社会派サスペンスです。東京新聞の記者である望月衣塑子の同名著書を原案とし、藤井道人監督がメガホンを取りました。

物語は、吉岡が内閣府が関わる大学新設計画の裏に隠された不正を暴こうとする中で、内閣情報調査室のエリート官僚・杉原拓海と出会うところから始まります。二人は、それぞれの立場を超え、真実を追求していきます。

あらすじ

東都新聞の記者・吉岡エリカは、過去の誤報が原因で自殺した父親の無念を晴らすため、権力に屈しない姿勢で真相を追究しています。ある日、大学新設計画に関する匿名の情報を受け取った彼女は、内閣府の人物が関与していることを突き止めますが、その人物が自殺。吉岡は、真相を追う中で内閣情報調査室の官僚・杉原と出会います。当初は敵対する立場であった二人は、次第に協力し、政府が隠蔽する真実を暴くことになります。

新設される大学の目的は、実は軍事技術の開発であり、税金が不正に流用されていることを知った二人は、記事化に向けて動き出しますが、官邸からの圧力により記事は掲載されそうになりません。しかし、杉原の決意と二人の粘り強い取材により、遂に一面記事として掲載され、世間に衝撃を与えます。しかし、週刊誌により吉岡の父の誤報を持ち出し、記事は誤報だと報道されてしまいます。それでも吉岡は続報を出す覚悟を決めます。その後、内閣情報調査室から吉岡に電話があり、父親の誤報は実は誤報ではなかったと告げます。そして、杉原は情報を忘れることを条件に外務省への復帰を促されます。物語は、吉岡が杉原と再会を果たす場面で幕を閉じます。

キャスト

吉岡エリカ：シム・ウンギョン
杉原拓海：松坂桃李
杉原奈津美：本田翼
多田智也：田中哲司

スタッフ

原案：望月衣塑子
監督：藤井道人
脚本：詩森ろば、高石明彦、藤井道人
音楽：岩代太郎

評価

映画は、第43回日本アカデミー賞で最優秀作品賞、最優秀主演男優賞、最優秀主演女優賞を受賞するなど、高い評価を得ました。

Netflixオリジナルドラマ『新聞記者』（2022年）

映画版と同じく藤井道人監督が手掛けたNetflixオリジナルドラマ版は、米倉涼子を主演に迎え、森友学園問題をモチーフにした事件を追う女性ジャーナリストの姿を描いています。全6話で構成され、より複雑な人間関係と群像劇として描かれています。

あらすじ

ドラマ版では、東都新聞の記者・松田杏奈が、首相夫人が関与する土地売買疑惑を追及する中で、政権中枢の不正を暴こうと奔走します。彼女は、過去の因縁と複雑な人間関係が絡み合う中で、真実を追い求めます。内閣府が資料の改竄を命じられる中、松田は真相を追求しようと奔走します。

映画版との違い

映画版は、女性記者と内調官僚の二人が中心でしたが、ドラマ版はより多くの登場人物が複雑に絡み合う群像劇となっています。また、映画版は物語の核心が生物化学兵器の開発でしたが、ドラマ版は森友学園問題を基に、より現実的なテーマを扱っています。映画版は事件の真相を暴くことに重きが置かれていましたが、ドラマ版は登場人物の人間ドラマにも重点が置かれています。

キャスト

松田杏奈：米倉涼子
村上真一：綾野剛
木下亮：横浜流星
鈴木和也：吉岡秀隆
多田智也：田中哲司

スタッフ

監督：藤井道人
脚本：山田能龍、小寺和久、藤井道人
音楽：岩代太郎

当事者との確執

ドラマ版は、森友事件の当事者である赤木俊夫さんの遺族との間で、制作過程における対立が報じられました。遺族は、事実と異なる描写や、遺族の意向を無視した制作姿勢に批判的な立場を示しています。

評価

ドラマ版も、その社会的なテーマや俳優陣の演技に対して、賛否両論の評価が寄せられています。肯定的な意見としては、事件の真相を深く掘り下げている点、俳優陣の熱演を評価する声があります。一方、否定的な意見としては、作品のテーマが政治的に偏っているという批判や、事実と異なる描写に対する批判があります。

まとめ

映画『新聞記者』とNetflixドラマ版は、それぞれ異なるアプローチで、現代社会における権力と報道のあり方を問いかける作品です。映画版は、緊迫感のあるサスペンスとして、ドラマ版はより複雑な人間ドラマとして、観る者に深い問いを投げかけます。これらの作品を通して、ジャーナリズムの重要性や、社会の不条理について考えるきっかけになるかもしれません。

関連情報

望月衣塑子: 原作者であり、東京新聞の記者。
前川喜平: 元文部科学事務次官、映画制作に協力。
* 森友学園問題: Netflixドラマ版のモチーフとなった事件。

両作品は、それぞれのメディアで高い評価を受けており、現代社会の問題を深く考える上で、非常に重要な作品と言えるでしょう。

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