新藤五国光

新藤五国光（しんとうご くにみつ）

新藤五国光は、鎌倉時代後期に活躍した刀工であり、その生没年は不詳です。彼は相模国、現在の神奈川県にて、永仁元年（1293年）から元亨4年（1324年）にかけて制作された刀剣が残されています。国光は相州伝と呼ばれる独特な作風の実質的な創始者であり、その技術は日本刀の伝統に名を残しています。彼の法名は光心といいます。

家系と背景

国光は粟田口六兄弟の末っ子であり、粟田口国綱の子と伝えられていますが、別の説では備前三郎国宗の子であるとも言われています。国光は父親が鎌倉に迎えられた後に生まれ、鎌倉の沼浜郷（現在の逗子市沼間）に居住しました。彼はその幼少期に、山城伝の粟田口派や備前伝の福岡一文字派の刀工たちの影響を受けながら成長し、相州鍛冶の伝統を築くことになります。国光が残した作品には多数の短刀が含まれています。

系譜について

国光の系譜に関しては様々な説があります。彼の師匠については、備前三郎国宗、一文字助真、及び京の粟田口国綱の三つの説が存在します。また、国光が国綱の子であり国宗の弟子であるというのが、日本刀の伝統における一般的な見解です。

日本に現存する最も古い刀剣の古伝書である観智院本『銘尽』には、国光に関する2つの異なる系図が記されています。ひとつは相模鍛冶系図で、もうひとつは鎌倉鍛冶に関する系図です。前者によると、相模国鍛冶の祖は貞国であり、国光はその弟子の一人として紹介されています。後者では、国光の師は備前三郎国宗であり、国光の弟子に進藤太郎や進藤文四郎、樋掻きと呼ばれる刀身彫刻師が挙げられています。

また観智院本の『銘尽』には、新藤五国光の祖父が亀山上皇に太刀を献上した際の記録もあります。これにより、大和当麻の鍛冶との関連も指摘されています。刀銘には「新藤五長谷部國光」ともあり、長谷部姓や長谷部住として解釈されることもあります。さらに国光は真言密教系の法師鍛冶ともされ、梵字を用いた装飾が特徴的です。

作風と作品

国光の作風は、粟田口伝と備前伝を受け継ぎ、特に粟田口の直刃を基調としています。しかし、彼の作品はそれらよりも沸が強く、刃文には金筋や稲妻が現れるなど、非常に美しい仕上がりとなっています。国光は特に短刀を得意とし、太刀の制作は少なめです。彼の銘字は「左字北冠」とも呼ばれ、ユニークな特征があります。

国光の作による主な刀剣には、以下のものがあります。

• - 国宝

- 短刀 銘国光（名物会津新藤五）（広島・ふくやま美術館）
- 短刀 銘国光（大阪・個人蔵） - 表面には素剣が、裏面には不動明王を表す梵字の彫物が施されています。
- 短刀 銘国光（個人蔵） - 徳川慶喜の旧蔵品であり、国光の作品の中でも特に地刃の働きが際立っています。

• - 重要文化財

- 短刀 銘鎌倉住人新藤五国光作 永仁元年十月三日（神奈川・法人蔵）
- 短刀 銘国光、他多数

国光の作業は刀剣の美術的な価値だけでなく、その歴史的背景とも深い関わりを持っており、今日においても多くの人々に評価されています。彼の技術と影響は、日本刀の文化に大きな足跡を残したといえるでしょう。

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