銘尽

銘尽（めいづくし）

『銘尽』は、応永30年（1423年）に書写された刀剣書であり、刀剣研究において非常に重要な資料です。もとは京都東寺子院観智院伝来本であったため、『観智院本銘尽』とも呼ばれ、別名『正和本銘尽』としても知られています。この書は国立国会図書館に所蔵されており、重要文化財に指定されています。

しかし、2017年に佐賀県立図書館が所蔵する龍造寺家文書から、観応2年（1351年）に書写されたとみられる「銘尽（龍造寺本）」が発見され、最古の刀剣書ではなくなりました。

概要

『銘尽』は紙本墨書で、仮綴じの冊子装が施されています。寸法は27.5×21.0センチで、墨付は45丁ですが、首部が欠失しています。書名は第9丁裏に「銘尽」とあることに由来します。この書は明治43年（1910年）に国立国会図書館が購入しました。

奥書によれば、応永30年（1423年）に書写されたものですが、本文中には正和5年（1316年）から遡って年数を数えている箇所があり、正和5年に記載された原資料が基になっていると考えられます。ただし、写本の記載には重複や矛盾が見られることから、複数の資料を基にして書写されたものと推定されています。

第42丁裏には、南洞院御秘蔵本を行蔵坊幸順が応永30年12月21日に写した旨が記されています。また、裏表紙には「京都東寺子院観智院所伝刀剣鑑定之書　応永三十年之古写　本書正和五年著作　勧智院法印権僧正住寶所貺　津田葛根蔵」と記されています。

さらに、第45丁（最終丁）の次にある貼紙には、朱書きで伴信友『古文零聚巻六』抜書ありと記されています。

構成

『銘尽』は、以下の内容で構成されています。

第1丁表 - 第1丁裏：正宗、貞宗、国盛、助盛、国宗、定利、国長、延寿太郎、国信、国吉、定俊、兼永、中次郎、了戒、光包、長光、弟子、備前備中雑鍛冶三十六名
第2丁表 - 第9丁表：太刀刀作善悪日之事、古今諸国鍛冶之銘（と刀の特徴）
第9丁裏 - 第10丁裏：銘尽（解説）、神代鍛冶（解説）
第10丁裏 - 第20丁表：日本国鍛冶銘(解説）
第20丁裏 - 第32丁裏：系図（と解説）：青井、粟田口、千手院、来、相模鍛冶、(山城)、大和国、備前鍛冶次第不同、備中鍛冶次第不同、陸奥鍛冶次第不同、鎌倉鍛冶、来系図、（他）
第32丁裏 - 第34丁裏：後鳥羽院御宇被召鍛冶十二月結番次第、大寶年中(友光、天国等)
第35丁表 - 第36丁表：一條院御宇(助包、安綱等）
第36丁裏 - 第37丁表：鎮西鍛冶、奥州鍛冶
第37丁表 - 第39丁表：後鳥羽院鍛冶（行平、正恒等）、後鳥羽院御宇鍛冶詰番次第
第39丁表 - 第40丁表：粟田口鍛冶系図、奈良鍛冶、伯耆鍛冶、伯耆国次第不同
第40丁裏 - 第41丁裏：散在国（友安等）、不知国鍛冶(天国等)、釼作鍛冶前後不同
第42丁表 - 第42丁裏：神代より当代までの上手鍛冶（藤戸等）、奥書（幸順）
第43丁表 - 第45丁裏：諸国名、奥書（岩菊之）

外部リンク

国立国会図書館デジタルコレクション『銘尽』
国立国会図書館デジタルコレクション『観智院本銘盡解説』
国立国会図書館貴重書展：銘尽

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