新藤枝駅

概要

新藤枝駅（しんふじえだえき）は、かつて静岡県藤枝市に存在した静岡鉄道駿遠線の鉄道駅です。東海道本線の藤枝駅北側に位置し、駿遠線における主要駅の一つとして機能していました。

沿革

その歴史は1913年（大正2年）11月16日に始まります。静岡鉄道駿遠線の前身である藤相鉄道が、大手駅と藤枝新駅の間を開業させた際、起点として藤枝新駅が設置されました。開業当初、駅は当時の国鉄（鉄道院）藤枝駅から北へ約100メートルほどの距離に位置していましたが、利用者の利便性、特に国鉄線との乗り換えの便を図るため、1919年（大正8年）には国鉄藤枝駅の至近地へと移転し、路線も変更されました。

駅施設の拡充も進められ、1937年（昭和12年）7月には、駅舎と会社の機能を持つ本社の設計が、浜松を拠点とする著名な建築家、中村與資平氏の建築事務所に委託されました。この駅舎は翌1938年（昭和13年）10月26日に完成しました。建設工事は地元藤枝の土木業者、山口組が手掛けています。

昭和に入り、藤枝市の市制施行を記念して、1956年（昭和31年）1月1日に駅名が藤枝新駅から新藤枝駅へと改称されました。

しかし、モータリゼーションの進展とともに、駿遠線はその役割を徐々に終えていくことになります。1964年（昭和39年）9月27日には、まず大手駅との間の区間が廃止されました。この際、駅舎の南半分がバス通路の確保のために解体されています。そして1970年（昭和45年）7月31日、残存していた新藤枝駅と大井川駅を結ぶ区間が廃止されたことにより、新藤枝駅はその60年近い歴史に幕を閉じ、廃駅となりました。廃止後も、駅の機能の一部はしばらくの間活かされました。特に、かつてのホーム上屋はおよそ5年間にわたり、藤枝駅前の静岡鉄道バス乗り場として転用されています。

廃駅後も、駅跡地は交通関連の施設として活用されました。1980年（昭和55年）4月15日には、駅構内の跡地を利用してバス乗り場と待機所が整備されました。また、駅の歴史を伝えるため、1994年（平成6年）11月3日には、地元の青島史蹟保存会の尽力により、『軽便鉄道駿遠線蹟』の碑が建立されました。

2000年代に入ると、駅跡地周辺は再び変化を迎えます。2002年（平成14年）3月には、バス待機所の一部が縮小され、跡地には静鉄建設および静鉄不動産による分譲マンションが建設されました。さらに、駅周辺エリアの再開発事業が本格化します。2015年（平成27年）2月28日からは、再開発に伴い駅跡地にあった市営駐車場が一時閉鎖され、改良工事が行われました。再開発が進む中で、2016年（平成28年）8月20日には、バス乗り場の一部（3番乗り場）が駅前ロータリー内へ移設され、バス待機所も新設された市営立体駐車場の1階へと移るなど、交通結節点としての機能も再編されました。そして、2018年（平成30年）2月3日に再開発事業が完了し、市営駐車場は近代的な立体駐車場へと生まれ変わりました。同年4月7日には、立体駐車場の併設施設として複合施設『FUJIEDA mikine（フジエダミキネ）』が開業し、駅跡地は商業・居住エリアとして新たな姿となりました。

駅の構造と運用

新藤枝駅の線路配置は、時代の変遷とともに変化しました。特に全盛期には、頭端式ホーム2面と3線の線路を持つ構造でした。駿遠線の路線形態から、大手方面から大井川駅や地頭方駅方面へ直通する列車は、当駅で進行方向を変える必要がありました。これは、線路が藤枝駅で途切れており、列車がホームに進入した後、一度停止して逆方向に進行する、いわゆるスイッチバック構造を持つ駅であったことを意味します。

当時の様子

駅が最も活気があった頃の新藤枝駅周辺は、藤枝駅に近いこともあり、人々の往来や貨物の積み下ろしで賑わいを見せていたと考えられます。駅周辺の当時の様子を偲ばせるものとして、2013年（平成25年）には藤枝市郷土博物館の記念特別展に合わせ、ドールハウス職人の小幡耕一氏によって昭和32年頃の新藤枝駅周辺の賑わいを1/24スケールで再現した精巧な作品が制作されています。

現在の状況

現在の新藤枝駅跡地は、前述の通り静鉄不動産の分譲マンションや複合施設『FUJIEDA mikine』などが建ち並び、かつて軽便鉄道の駅が存在した面影はほとんど残されていません。駿遠線の廃止後、その代替として運行されているバス路線（藤枝相良線など）は、現在では主に藤枝駅南口から発着しており、駅北側だった新藤枝駅跡地周辺の交通結節点としての機能は失われています。ただし、駅の歴史を伝えるものとして、青島史蹟保存会によって建立された『軽便鉄道駿遠線蹟』の碑が、駅跡地周辺のコミュニティパーク内に現存しています。この碑は、再開発が行われる前は現在の市営立体駐車場の位置にあった第2号緑地に設置されていたものです。

隣接駅

静岡鉄道駿遠線における新藤枝駅の隣駅は、瀬戸川駅と高洲駅でした。

* 瀬戸川駅 - 新藤枝駅 - 高洲駅

※廃止時点の隣駅です。

もう一度検索