新見荘

新見荘の歴史

新見荘（にいみのしょう）は、備中国哲多郡に位置していた荘園で、現代の岡山県新見市にあたります。この地域は高梁川の西側に広がっており、平安時代末期に大中臣孝正によって開発されました。最初は官務の小槻隆職に寄進され、その後、隆職は高倉天皇ゆかりの最勝光院に寄進し、自らはその領家となりました。

鎌倉時代に入ると、承久の乱を経て新見氏が地頭としてこの地に入ります。文永8年（1271年）には下地中分が実施され、荘園は東側が地頭、新見氏、そして西側が領家である最勝光院の所有となりました。しかし、最勝光院が徐々に没落を始めると、南北朝時代には後醍醐天皇が新見荘を改めて東寺に寄進しました。この寄進の背景には、時代の移り変わりや権力者たちの思惑が絡んでいたと考えられます。

新見荘の権益は、その後も激しい争いの舞台となります。天皇が領家職や地頭職を小槻氏や新見氏から取り上げ、東寺に再寄進したため、両氏族と東寺の間で対立が生じました。新見氏は室町幕府の支援を受けることで、再び地頭の地位を確保。しかし、室町時代には、代官の地位が他の氏族に転々とし、新見氏が常にその地位を保持するわけではありませんでした。

寛正2年（1461年）、代官安富智安の圧政により、居住者たちが反抗を起こし、東寺の直務が実施されます。しかし、その後も代官祐清が百姓たちの抵抗に遭遇し、殺害される事件が発生しました。応仁の乱が勃発すると、乱の混乱に乗じて新見氏と安富氏が荘園の支配を試みますが、百姓たちは備中の土一揆を起こし、彼らの権力に抵抗しました。それにもかかわらず、最終的には新見氏の武士勢力が百姓を排除し、荘園を掌握します。

その後、新見氏は三村氏に攻められ衰退の道をたどり、さらには三村氏も毛利氏の攻撃を受け滅ぼされます。天正2年（1574年）には、東寺も支配権を失い、新見荘はついに消滅を迎えました。新見荘の歴史は、政治的な権力闘争や社会の変革を背景にした、東西の勢力が交錯する複雑なものであったことがわかります。

参考文献

• - 上島有「新見荘」『日本史大事典 5』（平凡社 1993年）
• - 竹本豊重「新見荘」『日本歴史大事典 3』（小学館 2001年）

関連文献

• - 渡邊太祐「中世後期の交通事情と荘園年貢 : 備中国新見荘を事例として」『交通史研究』第75巻、交通史学会、2011年

もう一度検索