新高型防護巡洋艦

新高型防護巡洋艦

新高型防護巡洋艦は、大日本帝国海軍が建造した防護巡洋艦で、新高と対馬の2隻が建造されました。これらの艦は、日本海軍が国産技術で建造した最初の巡洋艦であり、その後の国産巡洋艦の基礎となりました。

概要

新高型は、従来の艦隊型巡洋艦とは異なり、当初から偵察任務を主眼に置いて設計されました。そのため、武装や速力は他の艦に劣る面がありましたが、その堅牢さと実用性の高さから、非常に成功した艦級と評価されています。日露戦争開戦直前の時期に突貫工事で建造されましたが、黄海海戦や日本海海戦など、数々の海戦で目覚ましい戦果を挙げました。第一次世界大戦では、連合国の一員としてアフリカ沿岸まで遠征するなど、その活躍は多岐にわたりました。

同型艦

新高（にいたか）
新高型一番艦として、横須賀工廠で建造されました。艦名は、当時の日本領であった台湾の新高山（現在の玉山）に由来します。日露戦争では、仁川沖海戦でロシアの巡洋艦と砲艦を撃沈し、日本海海戦では、ロシアの残存艦隊を追撃し、巡洋艦と駆逐艦を撃沈するなどの戦果を挙げました。第一次世界大戦では、南アフリカのケープタウンまで遠征しています。大戦後の1922年8月26日、北洋警備中に熱帯性低気圧による暴風雨に遭遇し、ボイラー室への浸水により右舷に傾斜、転覆して沈没しました。この事故で、乗組員327名が殉職するという悲劇に見舞われました。

対馬（つしま）
新高型二番艦として、呉工廠で建造されました。艦名は、日本と朝鮮半島との間の要衝であった対馬に由来します。新高と同様に、日露戦争、第一次世界大戦、そしてシベリア出兵にも参加しました。日本海海戦では、ロシア残存艦隊の追撃に加わり、ロシア巡洋艦1隻を撃沈する戦果を挙げました。大戦後は、標的演習艦として運用され、外板の腐食や演習砲撃の直撃弾により沈没しました。

特徴

新高型は、偵察任務を重視して設計されたため、従来の艦隊型巡洋艦に比べて武装が控えめでした。しかし、その代わりに堅牢な構造を持ち、実戦での高い稼働率を誇りました。これは、当時の日本海軍にとって、非常に重要な要素でした。

戦歴

日露戦争では、黄海海戦や日本海海戦で活躍し、敵艦の撃沈に貢献しました。第一次世界大戦では、連合国軍の一員として、長距離遠征に参加し、その航洋性の高さを証明しました。また、シベリア出兵にも参加し、その多岐にわたる活躍は、日本海軍の歴史に大きな足跡を残しました。

参考文献

雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦 第5巻 重巡Ⅰ』（光人社、1989年） ISBN 4-7698-0455-5
『造艦技術の全貌』興洋社、昭和27年。

関連項目

大日本帝国海軍艦艇一覧

外部リンク

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