新高築港専用鉄道

新高築港専用鉄道は、日本統治時代の台湾で計画された貨物輸送を目的とした鉄道です。この路線は、台湾総督府交通局鉄道部が管轄し、中部操車場（現在の龍井操車場）から新高港（現在の台中港）までを結ぶ予定でした。当初は新高臨港鉄道とも呼ばれていました。

路線データ

管轄: 台湾総督府交通局
路線距離:
中部操車場～岸壁: 12km
中部操車場～貨物駅: 8.45km
工業港支線: 7km
駅数: 3駅（起終点駅を含む）
軌間: 1067mm
複線: 全線複線
電化方式: 全線非電化

概要

この鉄道計画は、元々梧棲港の築港工事に伴うものでしたが、1940年（昭和15年）に港が新高港と改称されたことに伴い、鉄道計画も新高築港専用鉄道として知られるようになりました。路盤の9割方が完成していましたが、海岸線を渡る線路橋の建設に必要な資材が、戦時中の資材不足の影響で調達困難となり、1944年（昭和19年）に工事は中断されました。完成した一部分は、1944年8月より主に軍事物資の輸送に利用されましたが、戦局の悪化により、1945年（昭和20年）以降は使用されなくなりました。戦後、建設が再開されることはなく、計画は中止されました。

新高築港専用鉄道には、信号場（仮称）から分岐する工業港支線もありました。

現在、台中港の貨物輸送を担っているのは、十大建設によって開通した台中港線です。この路線は、甲南駅（現在の台中港駅）から分岐しており、当初は環状線となる構想もありました。新高築港専用鉄道とは異なり、現在の台中港線は実際に運用されています。

予定駅一覧

（大肚）
中部操車場
信号場（仮称）
貨物駅（仮称）
（岸壁）

新高築港専用鉄道の現状

新高築港専用鉄道は、そのほとんどが未完成のまま終わりました。しかし、この鉄道計画は、当時の台湾における港湾と鉄道輸送の重要性を示唆する歴史的な遺産と言えるでしょう。

脚注

台湾総督府交通局中部港築港工事事務所 『中部港築港附近鐵道計畫平面圖』
台湾総督府交通局新高築港出張所『新高港築港工事設計豫算書』、昭和17年

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