无位

無位についての考察

無位（むい）とは、古代の律令制において位階を持たない者を指します。特に、官職に就いているにもかかわらず、公式な位階を有していない官人がこの言葉で表現されることが多いです。無位は、官職に任命されても、その地位が十分に高くなく、自らの官位が認められない状況を反映しています。

律令制における官職と位階

律令制では官職と位階は密接に関係しており、官位相当制と呼ばれる仕組みが採用されていました。これは、特定の官職にはそれに見合う位階が付与されるというもので、官職の重要性を示すものです。ただし、雑任と呼ばれる下級官人の中には、四等官以下で位階を有しない者が多く存在しました。これらの官人は、例えば神祇官や市司などの役職に就いていても、官位相当を持たない場合がほとんどでした。

例えば、神祇官には89名の定員がありますが、その中で正式に官位相当を有する職事官はわずか7名にすぎません。また、東西の市司にはそれぞれ39名の定員がありますが、正・佑・令史の三名を除くと、残りの価長以下はすべて無位の官人でした。これらの官人は、初位や八位といった低い位階の者も含まれており、その中には全く位階が与えられていない無位の者も存在していました。

無位の実態

古代の法律書や規則を見てみると、無位の官人を前提とした内容が多くあります。例えば、衣服令では無位の者が着る服装に関する規定があり、黄袍が指定されています。さらには、雑令において文武官の義務として、毎年正月15日には薪を進納することが定められており、無位の者はその量を1担と定められています。このように、無位の官人も一定の役割を果たしていたことが伺えます。

無位の官人は、年功や労を積み重ねることによって昇進や位階獲得の機会をうかがいました。考課を経て叙位を受けることができる者もいましたが、これらの機会は全ての無位の官人に与えられていたわけではなく、実際には極一部の者に限られていたと言えます。彼らの詳細な実態や活動内容については、まだ明らかにされていない部分が多く、研究の余地があります。

参考文献

• - 梅村喬「古代官職制と〈職〉」『「職」成立過程の研究』（校倉書房、2011年） ISBN 978-4-7517-4360-7

無位の存在は、古代の官人社会の複雑な構造を理解する上で重要な要素であり、さらなる研究が求められています。

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