既遂

既遂（きすい）とは

刑法における「既遂」とは、犯罪行為を実行し、その犯罪を完成させることを意味します。これは、犯罪が未遂に終わった状態とは対照的で、犯罪が法的に成立したとみなされる状態を指します。

既遂の成立

犯罪行為が既遂に達すると、その行為は各犯罪を定める条文（構成要件）に該当し、刑法上の評価を受けることになります。この段階になると、犯罪者は刑罰の対象となり、法律に定められた刑罰が科せられます。

未遂との違い

未遂とは、犯罪の実行に着手したものの、結果として犯罪を完成させることができなかった状態を指します。既遂と未遂の大きな違いは、刑法上の取り扱いです。未遂の場合には、犯罪行為を途中で中止した際に、刑法43条但書によって刑が軽減されたり、免除されたりする可能性があります。しかし、既遂の場合、犯罪を中止しても刑の軽減や免除は原則として適用されません。ただし、犯罪の情状において酌量すべき点がある場合、刑が減軽されることがあります（酌量減軽、刑法66条）。

既遂の判断基準

どのような場合に犯罪行為が既遂に達したと判断されるかは、刑法の各条文によって具体的に定められています。犯罪の種類によって、既遂の成立要件は異なり、例えば、殺人罪では人の生命を奪うという結果が発生した時点で既遂となります。窃盗罪では、他人の財物を占有した時点で既遂と判断されます。このように、各犯罪行為の性質に応じて、既遂となる時点が異なります。

既遂の効果

犯罪行為が既遂に達した場合、その犯罪行為は法的に成立したとみなされ、犯罪者には刑罰が科せられます。また、既遂となった犯罪行為は、その後の捜査や裁判において、重要な証拠となり、刑罰を決定する上で重要な要素となります。さらに、既遂となった犯罪行為は、被害者に対する損害賠償責任を生じさせる原因にもなります。

関連する概念

* 現行犯（現行）: 犯罪行為を現に行っている、または、犯罪行為の直後である者を逮捕することを指します。既遂と未遂を問わず、犯罪行為を行っている最中、または直後の者を逮捕することが可能です。


既遂は、刑法において犯罪の成立を判断する上で重要な概念です。犯罪行為を行った者が刑事責任を負うか否かを決定する上で、既遂であるか否かの判断は非常に重要となります。

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