日南市立飫肥小学校

概要

日南市立飫肥小学校（にちなんしりつ おびしょうがっこう）は、宮崎県日南市飫肥十丁目に所在する公立小学校です。江戸時代の学問所「振徳堂」の系譜を引き継ぎ、近代学校制度のもと1873年（明治6年）に創立されました。現在の校名になったのは1950年（昭和25年）のことです。長い歴史を持つ本校は、2023年（令和5年）に創立150周年の節目を迎えました。

沿革

飫肥小学校の歴史は、近世に設置された藩校にまで遡ることができます。

• - 1801年（享和元年）11月、当時の藩主・伊東祐民公の意向により、八幡馬場にあった明智院跡地などに「学問所」が設けられました。
• - その後、1831年（天保元年）には伊東祐相公が校舎の改築に着手し、翌1832年（天保2年）8月に完成した校舎は「振徳堂」と名付けられました。これは、後の飫肥小学校の源流と位置付けられています。
• - 明治維新後の1871年（明治4年）7月、廃藩置県に伴い「飫肥県司教局」となり、教育とともに医務も管轄する組織となりました。
• - 近代学校制度の根幹となる学制が1872年（明治5年）7月に公布され、同年11月には都城県の設立により「第十一郷校」と改称されます。
• - 宮崎県が再び設置された後の1873年（明治6年）10月、学制に基づき「第五大学区 第二十五番中学区 第六十七小学区 宮崎県管下 飫肥小学校」として近代小学校の歴史が始まりました。
• - 1876年（明治9年）8月、宮崎県が鹿児島県に合併されたため、鹿児島県管轄下の小学校となります。
• - 激動の時代の中で、1877年（明治10年）の西南の役や1879年（明治12年）の飫肥商社事件の影響を受け、一時的に学校が閉鎖される事態も発生しました。
• - 1883年（明治16年）5月9日に宮崎県が再置された後、1884年（明治17年）には宮崎県学務課の指導により「公立中等飫肥小学校」へと改組・改称。地域連合による運営体制のもと、初等科、中等科、簡易科が設置されました。
• - 1886年（明治19年）に小学校令が施行されると、尋常科（4年制）が設けられ「尋常飫肥小学校」と名を改めます。
• - 1889年（明治22年）5月1日、町村合併により飫肥村が誕生し、1892年（明治25年）4月には村立となり「（飫肥村立）飫肥尋常小学校」となりました。この時期には、旧飫肥城跡に南那珂郡北八ヶ町村組合立の高等飫肥小学校も設置されています。
• - 1900年（明治33年）1月1日の町制施行により飫肥町となり、1903年（明治36年）4月には高等小学校の組合が解散。飫肥尋常小学校と高等小学校が統合され、「飫肥尋常高等小学校」と「飫肥女子尋常高等小学校」の男女別学の2校体制となりました。
• - 1908年（明治41年）4月1日には、改正小学校令により義務教育年限が6年に延長され、これに伴い課程の組み換えが行われました。
• - 1922年（大正11年）6月、男女別学の2校が再び統合され、「飫肥尋常高等小学校」（男子部・女子部）となります。
• - 校舎の整備も進み、1928年（昭和3年）2月に第一号校舎、1937年（昭和12年）12月に第二号校舎が完成。1930年（昭和5年）には男子部・女子部が第一部・第二部と名称変更され、同年中に両部が完全に統合されました。
• - 1941年（昭和16年）4月1日、国民学校令の施行により「飫肥町飫肥国民学校」と改称され、尋常科は初等科となりました。
• - 終戦後の学制改革を経て、1947年（昭和22年）4月1日に国民学校初等科は新制小学校「飫肥町立飫肥小学校」として再出発しました。
• - 1950年（昭和25年）1月1日、市町村合併により日南市が誕生したことに伴い、現在の校名である「日南市立飫肥小学校」に改称されました。
• - その後も施設拡充が進み、1951年（昭和26年）10月には講堂、1958年（昭和33年）と1960年（昭和35年）、1963年（昭和38年）には鉄筋校舎が完成しました。1956年（昭和31年）4月には特殊学級、同年9月には学校給食が始まりました。
• - 創立90周年にあたる1964年（昭和39年）6月には図書館が完成。1968年（昭和43年）4月には特殊学級が増設され「くすの木学級」と名付けられました。さらに、1970年（昭和45年）7月にはことばの治療室、1971年（昭和46年）4月には郷土資料室が開設されるなど、教育環境の整備が進められました。
• - 2014年（平成26年）4月1日には、日南市立吉野方小学校を統合しました。旧吉野方小学校は1872年（明治5年）に創立され、飫肥第二尋常小学校、飫肥町第二飫肥国民学校、飫肥町立第二飫肥小学校と名称を変え、最終的に日南市立吉野方小学校となっていましたが、この統合をもって114年の歴史に幕を閉じました。

校章

校章は、中央に学校名の頭文字である「飫」の文字を配したデザインです。

校歌

校歌は、創立80周年を記念して1953年（昭和28年）10月に制定されました。作詞は神戸雄一、作曲は園山民平によるものです。歌詞は全部で2番あり、歌詞の中に学校名は含まれていません。

通学区域

飫肥小学校の主な通学区域は、山ノ口、楠原、前鶴、大手、小川、本町、上新町、下新町、鳥居下、十文字、山川、原之迫、今町、板敷一区、上板敷、下板敷、永吉、倉掛、西ノ村、向原、星倉住宅、川向、釈迦尾ヶ野、畦ノ丸、徳之峯、つづら八重、大平、中角、瀬田尾、酒谷四区といった日南市飫肥地区の広範囲に及びます。卒業後の進学先中学校区は、日南市立飫肥中学校です。

交通アクセス

• - 鉄道：JR九州 日南線 飫肥駅が最寄り駅です。
• - バス：日南市コミュニティバス 十文字公民館バス停が利用可能です。
• - 道路：宮崎県道432号元狩倉日南線が近くを通っています。

周辺環境

学校周辺には、歴史的な街並みが広がる飫肥城跡や、飫肥城歴史資料館があります。また、中学校である日南市立飫肥中学校、飫肥こども園が近接しています。さらに、近代外交に貢献した小村寿太郎の生家や記念館、田ノ上八幡神社なども徒歩圏内に位置しており、歴史と文化を感じられる環境です。

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