日印協会

公益財団法人日印協会：日印友好の架け橋

1903年、大隈重信、長岡護美、渋沢栄一ら日本の著名な指導者たちによって設立された公益財団法人日印協会は、日印間の友好親善と文化交流を促進するため活動している団体です。設立当時、インドはイギリスの植民地でしたが、明治時代の日本の指導者たちは、アジア諸国の中でも特にインドとの通商関係を重視していました。この協会の設立は、そうした時代の流れを反映したものであり、日英関係を土台とした日印関係構築を目指した側面も持っています。

歴史：激動の時代を生き抜いた120年

協会設立の背景には、対印貿易の重要性をいち早く見抜いた渋沢栄一の強い意志がありました。設立当初から、岡倉天心や横山大観といった日本の文化人、そしてインドのラビンドラナート・タゴールといった著名な文化人との交流も盛んに行われていました。これは、政治経済的な関係だけでなく、文化交流という側面からも日印関係の深化を目指していたことを示しています。

1939年には財団法人として認定され、その後も日印関係の発展に貢献してきました。第二次世界大戦中は、インド独立運動への協力という難しい局面にも直面し、戦後はGHQによって活動を一時禁止されましたが、1947年のインド独立を機に「日印経済協会」として活動を再開、その後再び「日印協会」として活動を継続しています。

その後、歴代会長には一万田尚登氏、櫻内義雄氏、森喜朗氏、安倍晋三氏と、日本を代表する各界のリーダーが就任。2023年1月には菅義偉氏が会長に就任し、現在に至ります。100周年記念行事や、インド政府から顧問である三角佐一郎氏へのパドマ・ブーシャン勲章授与など、数々の節目を迎えてきました。

活動：多角的なアプローチによる日印関係強化

日印協会は、幅広い活動を通して日印関係の強化に貢献しています。具体的には、インドの政治、経済、社会、文化に関する情報収集や調査研究、日本人とインド人との交流促進、日印関係に関する知識の普及啓発、そして文化行事を通じた両国の文化交流促進など、多角的なアプローチで活動しています。さらに、日印双方の政府や関係団体への提言活動も行い、政策決定への影響力も持ち合わせています。

協会が主催するイベントは多岐に渡り、日印国交樹立60周年記念シンポジウムや歴史写真展、セミナー、講演会など、活発な活動を展開しています。特に「ナマステ・インディア講演会」は、20回以上にわたって開催されており、日印交流の重要な場となっています。会員向けには、月刊誌『月刊インド』や季刊誌「現代インド・フォーラム」といった情報誌の提供も行っています。

出版物：貴重な日印関係史料の保存と公開

協会は、長年にわたる活動の中で数多くの資料を収集、保存してきました。これらの中には、第二次世界大戦前後のインドに関する貴重な資料も含まれており、歴史研究においても重要な役割を担っています。協会が保管する資料の一部は、東京外国語大学で一般公開されており、歴史研究者にとって貴重な資源となっています。

結論：未来への貢献

日印協会は、100年以上にわたる歴史の中で、日印関係の発展に大きく貢献してきました。今後も、様々な活動を通して、両国の友好親善と相互理解の促進に努め、未来の世代へと繋がる架け橋としての役割を果たし続けるでしょう。

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