日向灘地震 (1498年)

1498年日向灘地震の概要

1498年日向灘地震は、明応7年6月11日（ユリウス暦1498年6月30日、グレゴリオ暦7月9日）に発生したとされる大規模な地震で、一般的には日向灘地震または1498年日向地震と呼ばれています。この地震に関する確かな記録は存在しないものの、震源地は現在の大分県佐伯市沖であると推定され、マグニチュードは7.0から7.5の範囲とされています。

地震の影響

『九州軍記』に記載された情報によると、地震は午前6時頃に始まり、午前10時頃には大規模な揺れが発生し、災害の影響は全国に広がったとされています。この地震の影響を受けた地域では山崩れや土壌の亀裂が観測され、多くの死傷者が出たと伝えられています。別府の延内寺では爆発が発生し、寺院は住職ごと吹き飛ばされ、地面が裂けて熱泥が噴出したため、現在の坊主地獄が形成されたとされています。この他にも、伊予地方では土地の陥没が確認されるなど、多くの地変が報告されています。

地震は、同日に未から申刻（午後3時頃）にかけて京都、奈良、熊野、三河、甲斐などでも強く感じられたとのことで、地域によっては津波が発生したとの記録も存在します。特に遠江や紀伊、三河では山崩れや津波が起こったとされるため、地震の発生による影響は広範囲に及んでいたと考えられています。

南海道沖地震の可能性

さらに同日に発生した強震や津波の記録が、今報告されている日向灘地震と同一の地震であるならば、さらに大規模な地震である可能性が考えられます。このことから、震源の位置を見直す必要があるとも指摘されています。特に中国の上海では津波が観測され、揚子江では水面の震動や氾濫が見られました。これらの現象は、後の宝永地震や安政南海[[地震]]でも確認されており、この地震も南海道沖で発生した可能性が否定できないとされています。

研究者の見解

しかし、一部の研究者は、この地震の実在性について疑問を呈しています。東京大学地震研究所の原田智也は、日向灘地震に関する最も重要な記録である『九州軍記』が地震発生から100年以上も経過してから書かれたものであり、その記述には創作の可能性があると指摘しています。そのため、6月11日に起きた具体的な地震の証拠としては、『御湯殿上日記』などといった別の文献に記された京都や奈良の記録が中心となっています。

このように、1498年日向灘地震は日本の地震史において重要な位置を占めているものの、その実態については未だ多くの議論が続いています。地震のメカニズムや影響範囲、その他の地震との関連について、今後の研究が待たれるところです。

もう一度検索