日支闘争計画

日支闘争計画の概要

日支闘争計画は、日本と中国（中華民国）を対立させることで、世界大戦を引き起こし、日本を包囲殲滅しようとした計画とされています。この計画は、コミンテルン（国際共産党）によって考案され、具体的には中国共産党や日本の軍部内の統制派、そして太平洋問題調査会（IPR）などの協力によって実行されたと考えられています。

計画の発表と実行

1918年9月、モスクワでボリシェビキの会議が開かれ、日支闘争計画が決議されました。この計画の核心的な内容は、日本と中国の間に内部破壊を促し、反日運動を喚起することでした。それによって日本と中国の武力衝突を引き起こし、さらにはアメリカやソ連を干渉させる戦争へと発展することを目指していました。このようにして日本を倒し、欧州では社会革命を起こすことを狙ったのです。

日本は、この計画の結果として、実際に日中戦争や太平洋戦争へと導かれ、最終的には国を滅ぼすことになります。この考え方は、渡部梯治によって広められました。

実行機関・太平洋問題調査会（IPR）の役割

IPRは、1925年に設立されたロックフェラー主催の民間機関です。日本からは新渡戸稲造、松岡洋右、鶴見祐輔などが代表として参加し、幹事長には日本YMCAの斉藤惣一が就任しました。1929年には京都において重要な会議が行われ、アーノルド・J・トインビーやジョン・ロックフェラー三世などが参加しました。このように多国籍な背景を持つIPRは、日支闘争計画を進める上で重要な役割を果たしたとされています。

レーニンと「敗戦革命論」

レーニンの「敗戦革命論」は、軍の力を無力化することで革命的な変化を促進するという考え方です。パリコミューンやロシア革命、ドイツ革命のように、戦争を内乱に変えることで政権を掌握しようとするこの理論は、後のコミンテルン大会でも採用されました。この理論に基づき、1930年代のシュイ海での「日支闘争同盟」が発表され、日本の海軍に対する反戦ビラの配布や、捕虜に対する共産主義の思想の植え付けが行われました。

コミンテルンの指令と日中戦争

1931年、満州事変が発生すると、コミンテルンは日本と中国の共産党に対し、日本の軍事的進出を失敗させるよう指示しました。彼らの狙いは、両国の対立を通じて日本の内部改革を進め、国民党との妥協を取り除くことだったのです。この指令は、特に日中戦争や支那事変の勃発に大きな影響を与えました。

尾崎秀実の工作

盧溝橋事件以降、尾崎秀実というスパイがコミンテルンの策略に貢献し、日本と中国間の和平を妨げる活動を行いました。彼は、和平交渉を遮断することで、日中戦争を長期戦に持ち込むことを目指していました。このようなキャンペーンは、日本国内での共産主義革命の機運を高めるために重要だったとされています。

近衛文麿と共産主義への警戒

1943年、近衛文麿が軍内部の共産主義者を摘発し、早期の戦争終結を求めたことは、戦局を見つめ直した政治的な動きとされています。彼の発言は、戦後の共産主義の台頭に対する強い警戒感を示しており、歴史的な背景をもって受け止められるべきです。

このように、日支闘争計画は日本と中国の関係を揺るがす要因となり、多くの歴史的出来事に影響を与えました。日中戦争やその後の大東亜戦争へと至る道筋は、この計画に基づくものだったと考えられています。

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