日曜日が待ち遠しい!

日曜日が待ち遠しい! (1983年の映画)

『日曜日が待ち遠しい!』（原題: Vivement dimanche!）は、1983年に公開されたフランスのミステリー映画です。巨匠フランソワ・トリュフォー監督の長編21作目であり、残念ながら遺作となりました。出演はファニー・アルダン、ジャン＝ルイ・トランティニャンなど、実力派俳優が名を連ねています。原作はチャールズ・ウィリアムズの小説『土曜を逃げろ』です。

トリュフォー監督は、前作『隣の女』でファニー・アルダンが小型拳銃を持って夜道を歩く姿を見て、彼女のためにミステリー映画を作ろうと思いついたそうです。しかし、映画全体のトーンは「幸福感に満ち溢れたもの」にしたいと考え、軽快なコメディとして仕上げています。監督が亡くなった1984年10月21日も、偶然にも日曜日でした。

あらすじ

舞台は南フランスの小さな町。バルバラは、不動産事務所で秘書として働く快活な女性です。余暇には素人演劇の舞台にも立っています。ある日、上司であるジュリアンが、妻殺害の容疑で警察に疑われてしまいます。バルバラは、ひそかにジュリアンに想いを寄せており、彼を事務所の地下室に匿い、真相を解明しようと奔走します。

キャスト

バルバラ・ベッケル: ファニー・アルダン（不動産屋の秘書）
ジュリアン・ヴェルセル: ジャン＝ルイ・トランティニャン（不動産屋）
クレマン弁護士: フィリップ・ロダンバッシュ（ジュリアンの弁護士）
マリー＝クリスティーヌ・ヴェルセル: カロリーヌ・シオル（ジュリアンの妻）
サンテリ警察署長: フィリップ・モリエ＝ジュヌー
ベルトラン・ファーブル: グザヴィエ・サン＝マカリー（バルバラの元夫で新聞記者）
クロード・マスリエ神父: ジャン＝ピエール・カルフォン（最初の被害者の兄）
ポーラ・デルベク: アニク・ブローブル（エデン座の切符売場の女性）
ルイゾン: ジャン＝ルイ・リシャール（売春組織のボス）

解説

バルバラのセリフ「社長はブロンドがお好き」は、ハワード・ホークス監督の『紳士は金髪がお好き』からの引用です。
「人生は小説（ロマン）ではない」は、ファニー・アルダンも出演したアラン・レネ監督の『人生は小説（ロマン）である』のもじりです。
バルバラ・ベッケルの姓「ベッケル」は、映画監督ジャック・ベッケルに由来しています。
バルバラのキャラクターは、女優キャサリン・ヘプバーンがモデルとなっています。
映画館エデン座で上映されている映画は、スタンリー・キューブリック監督の『突撃』です。
「ルイゾン」は、ジャン・ルノワール監督の『獣人』に登場する機関車の愛称です。「エンジェルフェイス」はオットー・プレミンジャー監督の『天使の顔（エンジェルフェイス）』、「スカーフェイス」はハワード・ホークス監督の『暗黒街の顔役（スカーフェイス）』から引用されています。
回転式本棚にはめ込まれた水槽の脇には、晩年のジュディ・ガーランドの遺影が飾られています。
ホテルの部屋番号は「813号室」です。
ラブシーンの後、バルバラが「恥ずかしい (J'ai honte)」と漏らした言葉を、ジュリアンが「待ち遠しい (J'ai hâte)」と聞き間違える場面があります。そこから、「日曜日が待ち遠しい (J'ai hâte d'être à dimanche)」というタイトルを思いついたという背景があります。このセリフは、ヴィクトル・ユーゴーの戯曲『王様の戯れ』に登場するブランシュの台詞「Le dimanche jamais revient assez tôt (日曜日は待ち遠しい)」から着想を得たものです。ユーゴーの戯曲では、純情なブランシュは悲劇的な死を迎えます。

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