日朝関係

日朝関係の概要

日朝関係とは、日本と朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）との間の二国間関係を指します。両国間には正式な外交関係は樹立されておらず、拉致問題や北朝鮮の核開発問題をめぐり、緊張状態が続いています。世論調査では、日本人の多くが北朝鮮に対して否定的な見解を持っており、両国間の関係は非常に複雑で困難な状況にあります。

歴史的背景

1945年以前の歴史については、日朝関係史を参照してください。第二次世界大戦後、北朝鮮が建国されてから数年間、日朝関係は敵対的な状態が続きました。1950年代には、北朝鮮は李承晩政権との経済的・政治的交渉を批判し、日韓の対立を利用しようとしました。しかし、1955年になると、北朝鮮は日本との経済・文化協力を求める声明を発表し、一時的に関係改善の兆しが見られました。これは、北朝鮮がソ連への経済的依存を減らすとともに、日韓の和解を阻止しようとした戦略的な動きでした。

1955年、北朝鮮は在日本朝鮮人総聯合会（朝鮮総連）の設立を支援しました。朝鮮総連は、北朝鮮を支持する在日朝鮮人の支援団体として機能し、事実上の大使館のような役割を果たしました。1959年には、赤十字協定が締結され、日本から北朝鮮への朝鮮人の帰国事業が始まり、1960年代後半までに約5万人が帰国しました。

1965年、北朝鮮政府は、日本と韓国の間で締結された基本関係に関する条約を強く批判し、日朝関係は再び悪化しました。1970年代には、日中国交正常化の流れの中で、日朝間の経済協力が模索されましたが、外交関係の樹立には至りませんでした。1980年代になると、北朝鮮の対日政策は、日韓協力を最小限に抑え、日本とのより緊密な関係を築こうとする一方で、日本の再軍備を阻止することを目的としていました。しかし、北朝鮮による日本人拉致やテロ行為、借金不払いなどが明らかになるにつれ、日本国内での北朝鮮に対する不信感は高まりました。

1980年代後半には、両国政府間の公式な接触はほとんどなく、関係はさらに悪化しました。日本は北朝鮮に対する経済制裁を科し、北朝鮮は日本に対するメディア攻撃を繰り返しました。1980年代に北朝鮮は、日本からの年間2億ドルを超える貿易を行っていました。

2017年には、北朝鮮が日本海に核ミサイルを発射したことで、日朝関係は過去最悪の状態になりました。

国交正常化交渉

1990年代初頭、日本は韓国との関係を維持しつつ、北朝鮮との外交関係樹立を目指す長期的な交渉を開始しました。1990年9月、日本の政治代表団が北朝鮮を訪問し、金丸信と金日成との会談後、日本が過去の植民地支配について謝罪し、補償を行うという共同宣言を発表しました。しかし、交渉は北朝鮮の核施設に対する国際査察や、日本の補償内容をめぐって難航しました。北朝鮮は、植民地支配による損害と第二次世界大戦後の「苦しみと損失」に対する賠償を要求しましたが、日本は核査察の問題を先に解決すべきだと主張しました。また、北朝鮮が1960年代に帰国した日本人配偶者の情報提供を拒否したことや、第二次世界大戦中にソ連軍の捕虜となり、北朝鮮に送られた日本兵の問題も交渉の障害となりました。

拉致問題

北朝鮮による日本人拉致事件は、1977年から1983年にかけて発生しました。北朝鮮は長年拉致を否定していましたが、2002年に13人の拉致を認めました。その後、小泉純一郎首相が2度平壌を訪問し、拉致被害者の帰国を求めました。北朝鮮は最終的に5人を帰国させましたが、残りの8人は死亡したと主張しました。しかし、横田めぐみさんの遺体とされたものがDNA検査で別人と判明するなど、北朝鮮の主張には多くの矛盾点があり、問題は未解決のままです。拉致問題は、日朝関係における最も重要な懸案事項の一つとなっています。

その他の活動

拉致問題以外にも、麻薬密輸、海上密猟、スパイ活動など、北朝鮮の秘密活動をめぐって、両国は何度も対立しています。北朝鮮によるミサイル発射実験は、ミサイルが日本の領空を通過することもあり、日本にとって大きな懸念事項となっています。1998年には、北朝鮮がテポドン1号を発射し、日本上空を通過して太平洋に落下しました。北朝鮮の度重なるミサイル発射は、日本を含む周辺諸国との緊張を高める要因となっています。

六者会合

2007年 2月13日の六者会合では、燃料援助と日米との関係正常化措置との引き換えに、北朝鮮が寧辺核施設を閉鎖することで合意しましたが、その後も状況は目まぐるしく変化しています。

まとめ

日朝関係は、歴史的な背景や拉致問題、核問題など多くの要因が複雑に絡み合っており、解決への道筋は非常に不透明です。両国間の溝は深く、関係改善には長い時間と多くの困難が伴うと予想されます。

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