日本とイラクの関係

日本とイラクの関係

日本とイラクの関係は、両国の歴史の中で複雑な変遷を遂げてきました。20世紀初頭の国交樹立から、第二次世界大戦、冷戦、湾岸戦争、そしてその後の復興支援まで、様々な出来事が両国関係に影響を与えてきました。本稿では、両国間の政治、経済、文化交流の歴史を詳細に解説します。

両国の比較

歴史

イラク王国時代（1932年～1958年）

1932年、イギリス委任統治領メソポタミアはイラク王国として独立し、日本は1939年に国交を樹立しました。しかし、第二次世界大戦の勃発により、両国関係は不安定な状況に陥りました。イラク国内では親英派と親枢軸国派の対立が激化し、イギリス軍の介入によって親枢軸国派は追放されました。1943年、イラクは枢軸国に宣戦布告し、日本との国交は断絶しました。

イラク共和国成立から湾岸危機まで（1958年～1990年）

1958年の革命によりイラクは共和国となり、東側陣営に加わりましたが、日本との友好関係は継続されました。1960年には両国の大使館が設置され、1964年には貿易協定、1968年には司法共助取極が締結されました。1970年代には、石油危機を背景に両国間の経済関係が強化され、技術協力協定、文化協定、航空協定が締結されました。イラン・イラク戦争中も日本はイラクとの関係を維持し、経済交流を続けました。

イラクのクウェート侵攻からサッダーム政権崩壊まで（1990年～2003年）

1990年のイラクによるクウェート侵攻は、両国関係を決定的に悪化させました。イラクはクウェートを占領し、国際社会から非難されました。日本は国連安保理決議に基づきイラクへの経済制裁を実施し、在イラク日本大使館を閉鎖しました。2003年、アメリカ軍を中心とした有志連合がイラクに侵攻し、サッダーム政権は崩壊しました。

イラクの戦後復興および新イラク共和国の成立後（2003年～）

2003年、日本はイラク特措法を制定し、自衛隊を派遣して復興支援活動を行いました。2004年、イラク暫定政権が発足し、日本との国交が回復しました。2014年には投資協定が発効し、両国間の経済関係は再び強化されています。日本は、ISILとの闘いにおいてイラクを支援する姿勢を明確にしています。

経済関係

貿易関係

イラクは豊富な石油資源を持つ世界有数の産油国であり、日本はイラクからの石油輸入に依存しています。2014年、日本はイラクから約1632億円の石油を輸入し、一方でイラクに約613億円の自動車や機械類などを輸出しました。イラクにとって日本は主要な貿易相手国の一つです。両国間の貿易は、石油輸出と自動車・機械類などの輸入が中心です。

資源プロジェクト

三菱商事などが参画する「サウス・ガス・ユーティライゼーション・プロジェクト」は、イラク南部の油田から産出される天然ガスを回収し、有効利用するための重要なプロジェクトです。このプロジェクトは、イラクのエネルギー資源開発に貢献し、両国間の経済協力を象徴するものです。

要人往来

イラク王国時代（1932～1958年）

1957年、イラクの王太子アブドゥル＝イラーフが訪日しました。しかし、その1年後にはイラクで王制が倒されました。

旧イラク共和国時代（1958～2003年）

1979年、三笠宮崇仁親王がイラクを訪問し、両国間の友好関係を深めました。1987年には倉成正外務大臣がイラクを訪問しました。

新イラク共和国時代（2004年～）

2004年以降、防衛庁長官や外務大臣、経済産業大臣など、多くの日本の要人がイラクを訪問しています。また、イラクからも外相や首相が訪日し、両国間の関係強化に努めています。

外交使節

両国は、それぞれ大使を派遣しており、外交関係を維持しています。

まとめ

日本とイラクの関係は、歴史的に複雑な変遷を辿ってきました。石油資源を巡る協力関係、湾岸戦争による断絶、そして復興支援を経て、両国関係は新たな段階に入っています。経済面では石油貿易や資源開発プロジェクトが重要な役割を果たしており、政治面でも両国間の対話が継続されています。今後も両国が協力し、安定した関係を築いていくことが期待されます。

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