日本とスリランカの関係

日本とスリランカの関係は、セイロンがスリランカに国号を改称する以前から始まり、両国間で様々な交流が行われてきました。この記事では、二国間関係の歴史、経済、文化、人的交流について詳しく解説します。

歴史

太平洋戦争以前

1921年、昭和天皇（当時は皇太子）がイギリス領セイロンを訪問したことが、両国間の歴史的な交流の始まりとして記録されています。

太平洋戦争中

1942年、日本軍はイギリス海軍の拠点であったセイロンを空襲しました。この攻撃は軍事施設を目標としたものでしたが、近隣の民間人にも被害が及びました。この出来事は、両国関係における悲しい過去として記憶されています。

太平洋戦争後

1948年にセイロンがイギリスから独立した後、1952年に日本とセイロンは正式な国交を樹立しました。特筆すべきは、1951年のサンフランシスコ講和会議において、セイロン代表のジュニウス・リチャード・ジャヤワルダナ大統領が、仏陀の言葉を引用し、対日賠償請求権を放棄するとともに日本の国際社会復帰を訴えたことです。この行動は、日本が国際社会に復帰する上で重要な役割を果たしました。

1957年、日本の首相として初めて岸信介がスリランカを訪問しました。その後も、皇族や首相がスリランカを訪問し、両国間の友好関係を深めてきました。

近年では、国交樹立の周年を記念した行事や、復興支援に関する会議が開催されるなど、両国間の協力関係はさらに強化されています。

援助

日本からスリランカへの援助

日本は、スリランカに対して長年にわたり経済支援を行っています。1954年にはコロンボ・プランに参加し、アジア諸国への経済支援を開始しました。特に、スリランカへのODA供与額は人口当たりで最大規模を誇ります。支援は、有償資金協力、無償資金協力、技術協力の3種類に分類され、インフラ整備や人材育成など、多岐にわたる分野でスリランカの発展に貢献しています。

青年海外協力隊の派遣も行っており、多くのボランティアがスリランカで活動してきました。2004年のインド洋大津波の際には、緊急支援として多額の資金協力も実施しています。

スリランカから日本への援助

2011年の東日本大震災の際には、スリランカ政府から多額の義援金と紅茶が贈られました。これは、スリランカの人々の日本への温かい気持ちを表す象徴的な出来事でした。

経済・貿易

スリランカは、BIMSTEC（多方面技術経済協力のためのベンガル湾イニシアティヴ）のメンバーであり、日本との経済連携を強化しています。

日本はスリランカにとって重要な貿易相手国であり、主要な輸出品目としては紅茶、衣類、魚介類などがあります。一方、日本からは自動車、機械製品、電気機器などが輸入されています。

スリランカ産の椰子の実の繊維は、日本の亀の子束子に使われており、両国間の経済的なつながりを示す例と言えるでしょう。

多くの日本企業がスリランカに進出しており、製造業、商社・サービス業、建設業など、様々な分野で事業を展開しています。

人的交流

日本には多くのスリランカ人が居住しており、留学生も多数います。近年、スリランカからの留学生は増加傾向にあり、両国間の人的交流が活発化していることを示しています。また、スリランカには日本人も居住しており、両国間の相互理解を深める上で重要な役割を果たしています。

文化交流

スリランカでは、日本のテレビドラマ「おしん」が非常に人気があり、日本文化に対する関心も高まっています。日本のテレビ番組やドラマが放送されるようになり、文化的な交流も盛んに行われています。

姉妹（友好）都市

日本のいくつかの都市は、スリランカの都市と姉妹都市提携を結んでおり、地域レベルでの交流も行われています。これにより、両国間の文化交流や相互理解が促進されています。

外交使節

両国はそれぞれ大使館を設置し、外交関係を維持しています。両国の大使館は、両国間の交流を促進し、様々な問題に対処するための重要な役割を担っています。

脚注

この記事の情報は、以下の資料に基づいています。

スリランカ民主社会主義共和国（外務省）
在スリランカ日本国大使館
在日スリランカ大使館

参考文献

杉本良男; 高桑史子; 鈴木晋介 (2013-03-25), スリランカを知るための58章, エリア・スタディーズ, 明石書店, ISBN 9784750337906

外部リンク

スリランカ民主社会主義共和国（外務省）
在スリランカ日本国大使館
* 在日本国スリランカ大使館（英語）

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