日本とセントビンセント・グレナディーンの関係

日本とセントビンセント及びグレナディーン諸島の関係

日本とセントビンセント及びグレナディーン諸島の関係について概説します。両国は地理的に離れており、歴史的なつながりも浅いため、緊密な外交関係は築かれていませんが、様々な分野で協力関係を構築しています。

歴史

1979年10月27日、セントビンセント及びグレナディーン諸島の独立と同時に日本は同国を承認し、1980年に外交関係が樹立されました。しかし、日本は在トリニダード・トバゴ大使館が兼轄し、セントビンセント及びグレナディーン諸島は在中華民国大使館が日本を兼轄しており、互いに直接的な大使館は設置されていません。

現況

地理的な距離と歴史的なつながりの薄さから、両国間の外交関係は密接とは言えません。セントビンセント及びグレナディーン諸島は、歴史的に関係の深いアメリカ合衆国、カナダ、イギリスとの関係を重視しており、カリブ共同体、カリブ諸国連合、東カリブ諸国機構といった地域協力機構にも加盟しています。

しかしながら、日本との関係緊密化も図られており、2017年までに日本から総額64.8億円に上る無償資金協力と、17.95億円に上る技術協力が提供されています。これにより、日本はセントビンセント及びグレナディーン諸島にとって、EU、アラブ首長国連邦、クウェートに次ぐ、第四位の主要援助国となっています。特に、両国が島国であることから水産分野での協力が中心で、開発援助の一環として漁業、水産、海洋資源の専門家が派遣されています。また、日本が供与した首都キングスタウンの魚市場一帯は「リトル・トウキョウ」として地域住民に親しまれています。

貿易面では、2019年の対日輸出額は2.2億円、対日輸入額は5.1億円と、小規模ながらも取引が行われています。主な輸出品目は魚介類、特にマグロであり、輸入品目は自動車などが中心です。

外交面では、2018年にセントビンセント及びグレナディーン諸島のゴンザルベス首相が訪日し、当時の安倍晋三首相と首脳会談を行いました。この会談では、安全保障理事会改革、捕鯨問題、北朝鮮核問題、拉致問題について両国間の認識を共有しました。特に捕鯨問題については、セントビンセント及びグレナディーン諸島がIWC加盟国でありながら伝統的なザトウクジラ捕鯨国であることから、日本の海洋生産資源の利用を支持する立場を表明しました。さらに、以前から要請されていたビザ発給要件の緩和については、友好国であることから日本がこれを受け入れています。

文化的交流としては、1991年に王立セントビンセント・グレナディーン警察隊の音楽隊に3600万円相当の楽器が無償供与されたほか、1997年から2001年にかけて計4回、セントビンセント図書館・古文書局に対し国際交流基金事業「図書寄贈」が実施されました。また、若手外交官の来日プログラムも実施されています。さらに、同国出身のウィリアムス・ニカ選手がプロバスケットボール選手として日本で活躍するなど、人的交流も行われています。

外交使節

駐セントビンセント・グレナディーン日本大使：在トリニダード・トバゴ大使が兼轄
駐日セントビンセント・グレナディーン大使：アンドレア・ボウマン（台北常駐、2022年～、信任状捧呈は9月2日）

参考文献

セントビンセント及びグレナディーン諸島（Saint Vincent and the Grenadines）基礎データ - 外務省

関連項目

日本の国際関係
セントビンセント・グレナディーンの国際関係
在トリニダード・トバゴ日本国大使館 - セントビンセント・グレナディーンを兼轄
在中華民国セントビンセント・グレナディーン大使館 - 日本を兼轄

外部リンク

在トリニダード・トバゴ日本国大使館
* 在中華民国セントビンセント・グレナディーン大使館 （英語）

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