日本とソマリアの関係

日本とソマリアの関係

日本とソマリアの関係は、1960年のソマリア独立と同時に始まりました。両国は友好的な関係を築いてきましたが、ソマリアの内戦により一時的に国交が途絶しました。その後、2013年に国交が回復し、現在に至ります。

歴史

1960年、イタリア信託統治領ソマリアとイギリス領ソマリランドが合併し、「ソマリア共和国」が成立しました。日本は直ちにこの国家を承認し、外交関係を開設しました。1982年にはソマリアが東京に大使館を開設しましたが、日本はケニアのナイロビにある大使館がソマリアを兼轄していました。

1988年にソマリア内戦が勃発すると、駐日ソマリア大使館は1990年に閉鎖されました。1991年には反政府勢力が首都を制圧し、日本はこれを承認せず国交は途絶。同時に、ソマリランドやプントランドが独立を宣言し、国土の統一性も失われました。これにより、二国間の支援は一時中断されました。

2012年、ソマリアに統一政府が樹立され、「ソマリア連邦共和国」が成立しました。日本はこれを承認し、2013年に二国間援助を再開しました。日本はソマリアの安定のため、様々な支援を実施しています。ただし、ソマリランドは連邦政府に参加しておらず、プントランドも事実上の独立を保っており、かつてのような緊密な関係が完全に回復したわけではありません。

外交

ソマリアの政情が不安定なため、1993年以降、日本の要人はソマリアを訪問していません。しかし、2016年には岸田文雄外務大臣（当時）がケニアでソマリア外相と会談するなど、外交努力は継続されています。

ソマリア要人の訪日も行われており、2013年にはソマリア大統領が来日し、安倍晋三首相（当時）との間で首脳会談が実現しました。この会談では、二国間関係の再開やソマリアの復興支援について話し合われました。2014年にも首脳会談が開かれ、東アフリカの安定化や経済支援が議題となりました。2019年には、モハメド・アブドゥライ・モハメド大統領が訪日し、安倍首相と会談し、ソマリア海賊や海洋秩序、北朝鮮情勢について意見交換を行いました。

経済関係

2019年の日・ソマリア間の貿易は、ソマリアからの輸出が21.3億円、日本からの輸入が5.5億円と、ソマリア側の黒字となっています。ソマリアからの主な輸出品は生鮮魚類や精油であり、日本からの輸入品は自動車などです。

日本は2013年の二国間関係再開以降、ソマリアへの政府開発援助を再開しましたが、まだ規模は小さいものです。技術協力としては、若年層の雇用を促進するプロジェクトが実施されました。無償資金協力では、警察の爆発物処理能力強化や、モガディシュの都市計画に必要な地形図作成、国連世界食糧計画を通じた食糧支援などを行っています。

文化交流

情勢不安のため、民間レベルでの文化交流はほとんど見られません。外務省などが難民キャンプへのサッカーボール寄贈など、文化的な支援を実施しています。また、2011年には、日本ソマリア青年機構という学生NGO団体が設立され、ソマリア支援に取り組んでいます。

海賊問題

ソマリア沖の海賊問題は、貿易や経済関係において重要な課題です。アデン湾は国際物流の大動脈であり、ソマリア海賊の活動は国際的な問題となっています。各国が海賊対策のために海軍を派遣しており、日本も自衛隊を派遣し、地域の安定化に貢献しています。

かつて「すしざんまい」の社長がソマリア海賊に漁業を教えたという話が話題になりましたが、これは誇張されたものであり、実際には隣国ジブチで漁業技術を教えたに過ぎないことが明らかになっています。

ソマリランドとの関係

ソマリランドは、ソマリアから独立を宣言しているものの、国際的には国家として承認されていません。日本はソマリランドとの公式な関係は持っていませんが、人道支援などを通じて間接的な関わりがあります。

まとめ

日本とソマリアの関係は、過去に中断された時期がありましたが、現在は復興支援を中心に協力関係が続いています。しかし、ソマリアの国内情勢は依然として不安定であり、今後の両国関係の進展には多くの課題が残されています。

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