日本とハイチの関係

日本とハイチは、遠く離れた島国同士でありながら、歴史的に深い繋がりを持っています。両国関係は、戦前から外交関係があり、1931年には神戸にハイチ領事館が、1935年にはポルトープランスに日本名誉総領事が設置されました。第二次世界大戦によって一時的に国交は断絶しましたが、1956年には回復し、その後、両国は友好関係を築いてきました。

戦後の関係とハイチ 地震

1960年には駐日ハイチ大使館が開設され、日本側も当初は在ドミニカ共和国日本国大使館が兼轄していましたが、1975年には在ハイチ日本国大使館（兼勤駐在官事務所）が開設されました。しかし、2004年にはハイチでクーデターが発生し、情勢不安から日本は大使館を一時閉鎖せざるを得ませんでした。その後、大使館は再開されたものの、特命全権大使が常駐しない状態が続きました。

2010年、ハイチをマグニチュード7.0の大地震が襲いました。もともと脆弱な社会基盤を持つハイチは、首都ポルトープランスを中心に甚大な被害を受け、コレラの流行も重なり、多くの犠牲者が出ました。この未曽有の災害に対し、日本は自衛隊を派遣し、医療物資や避難物資の提供、救命活動など、緊急人道支援を実施しました。また、国連ハイチ安定化ミッション（MINUSTAH）にも参加し、瓦礫撤去や道路補修、地震防災技術の提供、文化交流など、復興支援にも尽力しました。これらの支援総額は7500万ドルに達し、米国に次ぐ高額な支援国となりました。

また、この支援活動の中で、日本は初めて「武器」を譲渡した国となりました。派遣期間中に武器輸出三原則が緩和され、自衛隊の重機をハイチに譲渡することが可能になったのです。自衛隊は2013年にハイチから撤退しましたが、日本によるハイチへの支援はその後も継続されています。

現在の両国関係

2012年には、当時のハイチ大統領ミシェル・マテリが初めて日本を訪問し、野田佳彦首相と首脳会談を行いました。ハイチ側は地震やハリケーン・サンディに対する日本の支援に感謝の意を示し、日本側は防災やインフラ整備での継続的な支援を約束しました。2014年には、日・カリコム首脳会談の場で安倍晋三首相とマテリ大統領が懇談会を実施し、協力関係が再確認されました。両国は、共に島国であり、地震大国であるという共通点から、防災分野での連携が特に重視されています。

日本は、2017年までに累計600億円以上の援助をハイチに実施しており、ハイチにとって主要な開発援助国となっています。ハイチ地震後だけでも、3.2億ドル（約350億円）以上の復興・開発支援を行っています。また、2016年のハリケーン・マシューによる被害に対しても支援を実施しました。2018年には、コレラ予防・根絶のためにユニセフを通じて3億円以上を拠出するなど、保健分野での支援も行われています。

ハイチでは、日本車やバイク、柔道や空手といったスポーツ、アニメや漫画などのポップカルチャーへの関心が高く、特に若者からの支持が厚いです。一方で、日本の伝統文化や社会情勢に関する情報は限られています。そのため、在ハイチ日本国大使館では日本文化の発信活動が積極的に行われています。また、2014年からはハイチ国立大学と埼玉大学との間で学術交流協定が締結され、教育・研究分野での連携も進んでいます。

外交使節

現在、駐ハイチ日本大使と駐日ハイチ大使がそれぞれの国で外交活動を行っています。過去には、臨時代理大使が両国間の関係を繋ぎ、両国関係の発展に貢献しました。

日本とハイチは、地理的には遠く離れていますが、災害からの復興や文化交流を通して、互いに支え合い、友好関係を深めています。今後も両国は、様々な分野で協力関係を継続していくことが期待されます。

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