日本とモナコの関係

日本とモナコの関係

日本とモナコは、共に立憲君主制の国家であり、皇室と公室間の親密な交流があるにもかかわらず、2000年代に入るまで国交が樹立されていなかったという特異な歴史を持つ国同士です。この背景には、モナコが長らくフランスの保護下にあり、外交権に制限を受けていたという事情がありました。

歴史

国交締結前

1918年に締結された仏モ保護友好条約により、モナコは外交関係を結ぶ際にフランスの同意が必要でした。このため、日本はモナコと正式な国交を結べずにいましたが、両国間の友好関係は維持され、要人の往来も頻繁に行われていました。例えば、日本の皇族である常陸宮正仁親王夫妻は、レーニエ3世公の葬儀に参列するなど複数回モナコを訪問し、モナコのアルベール公世子も長野オリンピックに参加するなど日本を度々訪れています。

国交交渉開始後

2005年に仏モ友好協力条約が発効し、モナコが独自に外交を展開できるようになったことを受け、2006年、日本とモナコは正式に国交を樹立しました。モナコは日本に特命全権大使を任命しましたが、通常は本国に駐在しています。在日本大使館は未開設ですが、在東京名誉総領事館が三菱商事ビル内に設置されています。日本はモナコ駐箚特命全権大使をフランス駐箚特命全権大使が兼任しています。

2007年には、モナコのアルベール2世公が国交開設後初の国家元首として日本を訪問し、同年、日本の外務大臣政務官がモナコを訪問しました。これにより、両国間の交流がさらに活発化しました。

経済・通商

2013年時点の統計では、モナコから日本への年間輸出額は約3億円で、その7割以上がエッセンシャルオイルや化粧品類です。その他、科学光学機器が約1割を占めています。一方、日本からモナコへの輸出額は約1億円で、繊維品が最も多いものの、全体の2%にも満たない状況です。その他、楽器やプラスチック製品など多岐にわたる品目が少量ずつ輸出されています。

相互理解・交流

モナコでは、日本庭園が非常に人気があり、モナコ日本庭園は国民に広く親しまれています。この庭園は、グレース公妃の日本文化への関心から、レーニエ3世公が公妃を偲んで造園に着手したものです。ヨーロッパ初の本格的な日本庭園であり、8000平方メートルという広大な面積を誇ります。また、近年では日本の伝統文化だけでなく、サブカルチャーへの関心も高まっています。2010年には「京都・東京――サムライからマンガまで」と題した日本展が開催され、日本の歴史から漫画まで幅広く紹介されました。

東日本大震災の際には、モナコからも支援が行われ、フランスの民間防衛部隊にモナコ国民も加わって被災地での救援活動に従事しました。また、モナコ国内では、多くのチャリティー活動が行われ、多額の義援金が日本に贈られました。

両国の比較

モナコ国内に在留する日本人は、2014年時点で182名です。

まとめ

日本とモナコは、歴史的に特殊な関係にありましたが、国交樹立後は、経済、文化、人的交流など、さまざまな面で関係を深めています。モナコにおける日本庭園の人気や、サブカルチャーへの関心の高まりは、両国間の相互理解を促進する上で重要な役割を果たしています。また、東日本大震災時のモナコからの支援は、両国間の友情を象徴する出来事と言えるでしょう。

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