日本の観光

日本の観光の変遷

日本における観光の歴史は、時代の変化とともに大きく発展してきました。中世から江戸時代にかけて、旅行は文化人や貴族の中で盛んとなり、紀行文学も多く生まれました。特に中世後期には旅の一般化が進み、草津・有馬・下呂の名湯が知られるようになりました。宿泊施設も充実し、1泊2食付きの定額制が普及していたことは、当時の旅行が広く受け入れられていた証拠です。

江戸時代には、関所や口留番所の存在が人の移動を制限しつつも、諸道や水運が発展し、旅行は大衆化しました。旅行者は通行手形を使って寺社参詣を楽しむことができ、街道沿いには宿泊施設や茶屋が立ち並びました。また、浮世絵や旅行記が情報源となり、多くの庶民も旅を楽しむようになりました。

明治時代以降、交通網の整備や情報の普及により、観光目的の旅行が活性化します。また、日中戦争時には国民の旅行欲は高まるものの、戦局を受け、旅行は自粛を余儀なくされました。

第二次世界大戦後、日本は観光産業の発展を図ります。所得が増加し、交通手段が進化する中で、観光業は地域振興と結びつき、さまざまな観光地が開発されるようになりました。特に新幹線や高速道路網の整備により、国内旅行は一気に活性化。観光地には大勢の人々が訪れるようになりました。

高度経済成長期に入ると、観光地はさらなる発展を遂げ、温泉地や観光地には観光ホテルが建設され、様々なテーマパークも登場しました。1983年に開業した東京ディズニーランドが大きな成功を収めた影響を受けて、各地に様々なテーマパークが次々と誕生しました。

その後、訪日外国人観光客の数は増加を続け、日本は観光立国へと変貌を遂げます。特に2013年以降、政府は訪日外国人の増加を目指す施策を強化し、旅行業界は活況を呈しました。例を挙げると、2019年の訪日外国人は3188万人を超え、観光消費も過去最高を記録しました。

しかし、2020年に新型コロナウイルスの影響で訪日外国人は激減。観光業界は大きな打撃を受けましたが、復興に向けた取り組みが進められています。

日本の観光資源は多岐にわたり、自然、歴史的建造物、温泉、また文化体験など、訪れる人々に様々な魅力を提供しています。現在、観光は国内外でさらに注目され、旅行業界は回復を目指しています。観光立国を実現するために、今後も多様な取り組みや施策が求められるでしょう。

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