日本の鉄道コンテナ

日本の鉄道コンテナ：多様なサイズと歴史、そして特殊な用途

日本の鉄道コンテナは、国際規格のISOコンテナ、国内規格のJISコンテナ、そしてJR貨物独自のサイズの3種類に大別されます。JR貨物は、全てのコンテナに管理番号を付与し、厳格に管理しています。

サイズと種類

長らく12ft、5t積みのコンテナが主流でしたが、輸送効率や荷主のニーズに対応するため、様々なサイズや特殊な構造のコンテナが開発されてきました。中には、40ftの海上コンテナを直接輸送するケースもあります。また、従来のタンク車輸送から20ft ISOコンテナへの移行も進んでいます。

試験的に、JR貨物独自の特殊サイズ（15ftコンテナ、30ftカーラックコンテナなど）も開発されましたが、流通との整合性や需要の減少により中止されています。

統計と輸送単価

2021年の調査によると、貨物輸送における鉄道コンテナのシェアは0.56%でした。平均流動ロットは4.1トン/件で、輸送単価は航空運送や宅配便などに比べて低い傾向にあります。

歴史

日本の鉄道コンテナの歴史は、1931年の1t積みコンテナの試作に始まります。戦後のトラック輸送の台頭に対抗するため、1959年にコンテナ専用列車「たから号」が運行を開始。10ft、5t積みコンテナの扱いやすさが、現在の12ftサイズへと繋がる礎となりました。

高度成長期には、ヤード集結型輸送が主流でしたが、輸送遅延や効率の悪さから、1984年に直行型輸送への大規模な転換が行われました。この改革に伴い、多くの貨物駅が廃止され、コンテナ輸送が中心となりました。化成品輸送では、タンク車から20ft ISOコンテナへの切り替えが進みました。

所有者と管理

JR貨物が全ての鉄道コンテナの総括管理を行っています。そのため、全てのコンテナはJR貨物での承認登録が必要となります。中小私鉄はJR貨物からの委託を受けて輸送を行うケースもあります。

JR貨物所有コンテナ

現在の主流は、国内物流事情に最適化された独自の12ftコンテナです。一部に15ftや31ftの特殊サイズも存在しました。12ftコンテナは新幹線と在来線の両方に対応できるよう設計されていましたが、夜間のメンテナンスにより新幹線での輸送は実現していません。阪神・淡路大震災以降は、海上輸送も可能な隅金具装備のコンテナが増えています。

私有コンテナ

1970年から始まった私有コンテナ制度により、多くの企業や団体がコンテナを所有・運用するようになりました。規制緩和により、多種多様な業者が参入し、ISO規格コンテナも増加しています。川崎市では、生活ごみのコンテナ輸送をいち早く実現し、環境負荷軽減に貢献しています。

私有コンテナは、JR貨物の規定事項を守れば、自由にデザインすることができます。

コンテナ規格とハローマーク

コンテナの規格は、大きさ、重量、種類などが統一されており、全国共通のルールによって円滑な流通を図っています。規格外コンテナには、超過項目を示す黄色い菱形マーク（ハローマーク）が付けられています。

付番規則

国鉄時代とJR貨物時代では、コンテナの付番規則が異なります。国鉄時代はシンプルな数字でしたが、JR貨物時代は、種類を表すアルファベットと、内容積や床面積を表す数値、改良順を示すアルファベット、本体番号から構成されます。私有コンテナには、先頭に「U」が付きます。

私有コンテナ登録規格

私有コンテナは、旧国鉄時代の規格とJR貨物時代の規格が存在します。JR貨物発足後に生まれた種類や、淘汰された種類も存在します。

ドライコンテナ

ドライコンテナは、一般的な箱型のコンテナです。湿気防止のため、内張りが施されているのが一般的です。様々な特殊な構造を持つドライコンテナも存在します。

特殊事例

簡易保冷・断熱仕様：一部のドライコンテナは、保冷機能を追加で装備しています。
ウイング仕様：側面が開閉するウィング型のコンテナです。フルウィング、セミウィング、フルウィング二枚折りなどがあります。
屋根全面上昇仕様、屋根片側ハッチ仕様：特殊な荷役を容易にするための構造です。
通風仕様：通風孔を設けたコンテナです。
* 防振仕様、スワップボディー仕様

冷凍コンテナ

冷凍コンテナは、集中式、分散式、併用式の3種類があります。集中式は、専用の電源コンテナから給電する方式でしたが、運用上の制約が多いため、現在ではほとんど使用されていません。分散式は、コンテナに搭載された小型発電機で給電する方式であり、現在主流となっています。併用式は、集中式と分散式の両方の機能を備えています。青函トンネルを通過する際には、エンジンの停止・始動が遠隔操作で行われます。

ヤンマーは、冷凍機を供給していましたが、2015年に撤退しました。

冷蔵コンテナ

冷蔵コンテナは、鮮魚専用重冷蔵タイプ、冷蔵・通風兼用タイプ、改良型超高性能冷蔵タイプなどがあります。

タンクコンテナ

タンクコンテナは、液体貨物を輸送するためのコンテナです。普通品用と危険品用があり、海上コンテナとは輸送品目に違いがあります。

ホッパコンテナ

ホッパコンテナは、粒状の貨物を輸送するためのコンテナです。ホッパ式、バルク式、ダンプ式などがあります。

オープン・トップ・コンテナ（無蓋コンテナ）

無蓋コンテナは、天井が開閉するコンテナです。箱形タイプ、背丈の低いタイプ、フラットタイプがあります。主に天井から荷役を行うため、上からの荷役が容易です。単独返回送雑貨用タイプ、アダプター用・親子タイプ、段積み返回送雑貨用タイプなどがあります。

事業用コンテナ

事業用コンテナは、貨物の輸送には使用されないコンテナです。交換用台車枠輸送タイプ、死重搭載タイプなどがあります。

その他の特殊なコンテナ

車掌室コンテナ、電話網敷設用コンテナなど、様々な特殊なコンテナが開発されてきました。

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