日本シティメディア

日本シティメディア株式会社

日本シティメディア株式会社は、かつて日本に存在した電気通信事業者です。1987年に設立され、東京都区部を中心とした地域でテレターミナル事業を展開していました。テレターミナルとは、無線を利用したデータ通信サービスの一種で、当時のパソコン通信の普及に貢献しました。

概要

日本シティメディアは、東京都区部の国道16号の内側を主なサービスエリアとしていました。1987年7月13日に日本電気、パイオニア、東京電力などの大手企業が出資して設立され、1989年12月20日にサービスを開始しました。

サービス開始当初は、9600bpsの通信速度でデータ通信が可能な端末を利用していました。このテレターミナルに対応したパソコン通信の草の根BBSとしてMIYA-NETも存在しました。当時としては比較的高速なデータ通信が可能であり、一部のユーザーに利用されていました。

1996年12月には、モトローラが開発した新方式「データTAC」を導入し、通信速度を19200bpsに向上させました。さらに、テレターミナル端末同士での双方向通信が可能な新サービス「Qメール」を開始しました。当時流行していたポケットベル（ポケベル）に対抗して「Pの次にはQが来る」というキャッチフレーズを用い、イメージキャラクターにシャ乱Qを起用して拡販を目指しました。しかし、携帯電話の急速な普及とサービスエリアの狭さなどの影響で、同サービスは普及しませんでした。

経営が行き詰まった同社は、当時加入者の急増による電波帯域不足に悩まされていたNTT移動通信網（現 NTTドコモ）に、テレターミナル用の800MHz帯に割り当てられていた5MHzの帯域を譲渡することになりました。1998年7月1日にテレターミナル事業はNTT移動通信網に譲渡されました。その後もテレターミナルのサービスは続けられましたが、利用者減少により2007年7月にサービスを終了しました。

事業譲渡後、割り当てられていた5MHzのうち2MHzは、NTTドコモのmovaに帯域転換され、有効活用されました。

沿革

日本シティメディアの歴史を年表形式でまとめました。

1985年
3月：郵政省から「テレターミナルシステム構想」が打ち出される。
8月29日：郵政省のテレターミナル研究会から報告書が提出される。
12月17日：「テレターミナルシステム実用化促進協議会」（仮称）の発起人会が開催される。参加企業は、セコム、日興証券、松下通信工業、東芝、三菱電機、日本電気、東京海上火災保険、明治生命、トヨタ自動車、東京電力、第一勧銀、富士通、東京ガス、財団法人移動無線センター。
1986年
1月：「テレターミナルシステム実用化促進協議会」が設立される。
1987年
5月：調査企画会社の設立準備室が発足。
7月：基本システムが完成（財団法人電波システム開発センターが受託開発）。
7月13日：調査企画会社として日本シティメディア株式会社が設立される。
9月：東京都内で実験開始。赤坂（財団法人移動無線センター）、西新宿（東京ガス）、芝浦（沖電気工業）の3サイト。
1988年
10月：事業会社に移行。
12月21日：郵政省が陸上移動無線データ通信を制度化。
1989年
12月20日：開局式・運用開始。
1996年
12月：通信速度を19200bpsに向上、「Qメール」を開始。
1998年
7月1日：テレターミナル事業をNTT移動通信網に譲渡。
7月31日：解散。
2007年
7月：サービスを終了。

資本金および出資者

資本金：4億円（当初）
出資者：日本電気、パイオニア、東京電力など

利用料金

開業時の利用料金は、以下の通りでした。

基本料金：月額〇〇円
通信料金：〇〇円/分

関連項目

関西シティメディア：1997年2月から1999年まで、大阪府内でテレターミナルサービスを展開していた電気通信事業者。1998年7月31日に解散。
* RC-9801：日本電気製の携帯型無線パソコン。型名：RC-9801。

まとめ

日本シティメディアは、テレターミナルという無線データ通信サービスを事業展開した電気通信事業者でした。ポケベルの衰退と携帯電話の急速な普及という時代の流れの中で、そのサービスは短命に終わりましたが、当時の情報通信技術の一端を担う存在として、その歴史は記憶されるべきでしょう。

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