日本テレビ郵便爆弾事件

日本テレビ郵便爆弾事件：未解決の爆弾事件

1994年12月、日本テレビ放送網本社で発生した郵便爆弾事件は、社会に大きな衝撃を与えました。この事件は、人気女優の安達祐実さん宛に送られた郵便物が爆発し、2名が重軽傷を負ったというものです。

事件の概要

1994年12月21日午後5時45分頃、東京都千代田区の日本テレビ放送網本社で、安達祐実さん宛の封筒が爆発しました。封筒を開封したのは、安達さんの所属事務所であるサンミュージックブレーンの社員で、彼はこの爆発により左手親指を失う重傷を負いました。また、近くにいた日本テレビ関連会社の社員も軽傷を負い、安達さんのマネージャーも一時的に聴覚に異常をきたす被害を受けました。

当時13歳だった安達祐実さん本人は、隣のスタジオで年末年始番組の収録を行っており、幸いにも怪我はありませんでした。郵便物は、通常、館内の集配所で区分けされた後、各部署に配布されますが、この時はたまたま安達さんの所属事務所社員に、関連会社の社員が「重いので気をつけて」と声をかけて手渡した直後に爆発が起きました。

警視庁は、傷害、爆発物取締罰則違反、郵便法違反の容疑で捜査を開始しましたが、犯人を特定するには至らず、2009年12月21日に時効が成立しました。

送付された郵便物

爆発物が入っていたのは、縦25cm・横9cmの市販の白い封筒でした。宛先は「東京都千代田区二番町14 日本テレビ放送網アナウンス部 安達祐実様」、差出人は「都内港区新橋1-9-6 旭通信社」と記載されていました。封筒には500円切手が貼られ、12月19日付の芝郵便局の消印があったことから、12月18日夜から19日の夕方にかけて芝局区内のポストに投函されたと推測されています。

封筒の中からは、はんだ付けの跡がある単3乾電池3本、直径1.7cm×長さ14cmの鉄パイプ、ニクロム線、赤白のリード線、厚さ数mm・一辺1cmの正方形板状の磁石などが発見されました。火薬の量は20g前後と推定されています。

差出人として記載されていた旭通信社は、日本テレビと広告取引がありましたが、事件とは無関係であることが確認されています。

類似の事件

1993年には、ニッポン放送に爆発物が送りつけられる事件が2件発生しています。宛名はいずれも深夜番組オールナイトニッポンのパーソナリティで、7月29日には裕木奈江さん、8月3日には加藤いづみさん宛でした。これらの封筒からは、単3乾電池や爆竹が発見されています。

また、1995年には、東京都庁で青島幸男都知事宛の小包が爆発し、職員が重傷を負う事件が発生しました。この事件では、本をくりぬいて爆発物が仕込まれており、起爆の仕組みは日本テレビの事件とほぼ同じでしたが、オウム真理教による犯行であることが判明しました。

これらの事件をきっかけに、郵政省は不審な郵便物に対するX線検査を導入しました。

1997年には、再び日本テレビ本社で、アナウンサーの井田由美さん宛の郵便物が爆発する事件が起きました。この時は、アナウンス部の部長が負傷しています。日本テレビ側は、1994年の事件以降、不審な郵便物に対する調査を徹底していたものの、社内での連絡ミスが原因で事件が発生したとコメントしています。

事件の影響

日本テレビ郵便爆弾事件は、郵便物の安全管理に対する意識を高める契機となりました。また、類似の事件が発生したこともあり、公共施設や企業におけるセキュリティ対策の見直しが進められました。しかし、犯人が特定されないまま時効を迎えたことは、多くの人々に深い失望感を与えました。

この事件は、私たちに安全な社会の実現には、不断の努力が必要であることを教えています。

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