井田由美

井田由美：日本テレビを代表するアナウンサーの軌跡

井田由美（いだ ゆみ）は、日本テレビのエグゼクティブアナウンサーとして知られています。1957年9月19日に生まれ、福岡県北九州市で幼少期を過ごし、その後、東京都港区、大阪府枚方市へと移り住みました。父親は京都大学の元教授で医用材料学を専門としていた井田一夫です。

学生時代と演劇への情熱

大阪府立四條畷高等学校を経て慶應義塾大学法学部法律学科を卒業。中学時代はバスケットボール部、高校時代はブラスバンド部に所属し、大学在学中はシェイクスピア劇研究会や演劇集団アクト青山で活動しました。一時、俳優を志し、演劇集団「円」の研究所にも研究生として在籍。同期には石田純一がいました。アクト青山で井田を指導した渥美国泰は、彼女を「非常に頭の良い、演劇の知識と社会的常識を備えたマルチな英才で努力家」と評しています。NHK連続テレビ小説『マー姉ちゃん』の主役女優募集に応募したこともありました。

日本テレビへの入社

俳優の道を諦め、大学卒業を控えた1980年、日本テレビのアナウンサー採用試験に1300人の中からただ一人合格。同期には、佐野譲顕（広島テレビ取締役会長）、城朋子（元BS日本専務取締役）、石澤顕（日本テレビホールディングス・日本テレビ代表取締役社長）、吾妻光良らがいます。

アナウンサーとしてのキャリア

入社後、『ルンルンあさ6生情報』の初代司会者に抜擢。当時としては珍しい、朝6時台の情報番組で女性アナウンサーが単独で進行する生放送を担当しました。また、強い希望で『美の世界』を担当しています。1986年には、『NNNライブオンネットワーク』で日本のニュース番組初の女性メインアンカーパーソンに起用され、注目を集めました。若手時代は、元祖アイドルアナウンサーとして人気を博しました。

キャリアの多くを報道・情報番組が占め、『きょうの出来事』や『報道特捜プロジェクト』では10年以上にわたりキャスターを務めました。バラエティ番組への出演は少ないものの、本人はバラエティ番組嫌いではなく、若手時代には担当を希望していました。しかし、『所ジョージのモノMONOウォーズ』が短命に終わり、その後はバラエティ番組での機会に恵まれなかったと述懐しています。

解説委員、そしてアナウンス部へ復帰

2004年に報道局解説委員となり、アナウンサーとしての第一線を退きますが、2012年にアナウンス部へ復帰。2013年6月には編成局アナウンスセンターアナウンス部専門部長に就任し、司会やナレーション業務の傍ら、記者やキャスターの研修も担当しました。2017年9月に定年を迎えましたが、日本テレビに在籍し、アナウンス部最年長・最長キャリアのアナウンサーとして活躍を続けています。2019年には、アナウンサーの業務を通じて国語教育施策へ貢献したことが評価され、文化庁長官表彰を受賞しました。

アナウンサー論とタレント化への考察

長く『美の世界』を担当した経験から、アナウンサーは画を引き立てる額縁のような存在であると述べています。アナウンサーのタレント化については、「夢の世界に生きるタレントと視聴者との間を橋渡しするのもアナウンサーの役目」と肯定的な立場を示し、「テレビを見ている人に、臨場感のある楽しさを届けたい」という思いからタレント然とした振る舞いをすることもあると語っています。

井田由美は、アナウンサーとしての卓越した能力と、常に新しい挑戦を続ける姿勢で、日本テレビの顔として長きにわたり活躍しています。

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